・3月分の記事
3月は単行本「かくて馬券は投資となる」の
第4章を元に加筆、再編集してまとめた一文で、
私(杉本)の研究過程を通し、
競馬の楽しみ方などを紹介したいと思います。
・競馬の魅力
「競馬はロマン」とは、
ファンがよく口にする表現です。
しかし競馬には馬券も含めいろいろな
魅力、楽しみがあり、競馬のどの部分に
ロマンを感ずるかは各人各様でしょう。
数年前にターフを沸かせた名馬の子供たちが
現在すでに活躍している、といった
天上から下界の輪廻を見るような感覚も
競馬独特の魅力の一つです。
・ダービー馬はダービー馬から
また、サラブレッド自体の繊細さ、
或いは大穴馬券的中を目指すピカレスク的な
ものまで様々な「ロマン」があります。
その中でも多くの競馬ファンが
「ロマン」としてイメージするのは
「ダービー馬はダービー馬から」に
象徴される「血統」ではないかと思います。
特に近年はPCや家庭用ゲーム機の
競走馬シミュレーションなどのをきっかけに、
競馬に親しむようなケースも多いので、
以前にも増して「血統」の知識が一般的と
なりつつあるようです。
・只、ダービーのために
かつて作家の吉屋信子氏が、
10連勝でダービーを制しながらその直後
病に倒れたトキノミノルを
「ダービーを勝つために生まれた馬」と
評したのは競馬の世界では有名な逸話です。
「吉屋信子」、「トキノミノル」といっても
ピンとこない方も多いかもしれませんが、
まず、吉屋信子氏は主に戦前活躍された作家です。
「紅雀」など少女小説の佳作を数多く
残されていますが、文語調の表現が
馴染みにくいため、残念ながら
現在は広く読まれることはないようです。
・最強伝説
昭和26年のダービー馬トキノミノルは、
当時映画化もされ、現代にまで最強伝説を
残している名馬です。
東京競馬場に銅像があり、
またダービー路線のGレースである
共同通信杯のサブタイトル(トキノミノル記念)に
なっているので、その名前はお聞きになった
ことがある方が多いのではないかと思います。
・伝説のトキノミノル
このトキノミノルは、デビューからダービーまで
馬場が悪いか、自分のレコードを破れなかった
とき以外は殆どレコード勝ちというまさに
無敵の10連勝を飾りながら、ダービー後に
破傷風で不慮の死をとげました。
その鮮烈な一生から上記の評が生まれたわけです。
・競馬を人生の友に
私(杉本)自身は、吉屋信子氏の
「ダービーを勝つために生まれた馬」、
この名言に「ロマン」を感じます。
「ダービーを勝つために生まれた馬」とは、
トキノミノルの一生を評したものでもあり、
生まれながらに走るという宿命を負っている
サラブレッドに対する、
「それぞれの馬には、
その馬のための走り、
そして勝つべきレースがある」
という感性の提起でもあります。
・レイゾンデートル
人生なにをすべきか、
自分はなにをなしとげるために
この世に存在したのかは凡人にはなかなか
探せないものです。
しかし、明確な宿命を負っている
競走馬はそれを体現する存在である、
この感じ方にも競馬の「ロマン」の
一端があると考えます。
・馬券戦術の出発点
そして私の馬券戦術の根幹はこの「ロマン」の
延長線上からスタートしています。
私は馬券戦術の解説を行う場合、
1頭の狙いとなる馬を発見して
その馬の単勝、複勝、またはその馬を
軸とする連勝式の流し馬券の組み合わせを
工夫する戦術を中心に紹介しています。
・「馬券」を「ロマン」の領域に
それが効率良く馬券を楽しむための
良策の1つであるという意義もありますが、
もう1点、競走馬がその馬にとって
ただ1つの勝つべきレース、
或いは2着となり穴馬券に名を残すレースを
探すことにこだわることにも、
意味があると考えるからです。
すなわち各レースで
「そのレースに相応しい1頭」を見つけだすこと、
あるいはその過程での馬との出会いが
「馬券」を「ロマン」の領域に同化させ、
競馬を人生の友とするための1つの道筋と
なると考えるのです。
・相応しい1頭の効用
私自身、連勝式が枠連の時代には
単・複勝を中心に馬券を買っていました。
それは無論馬券で儲ける技術や
投資対回収効果を考えてのことでもありますが、
こうした「相応しい1頭」に対するこだわりに
基づくものでもありました。
その経験からもう1つ言えることは、
競馬の本質をスポーツとして、
或いは賭け事として理解するという意味でも、
1頭の馬を通してレースを見続けることの効用は
ことのほか大きいといえます。
・軸馬発見の重要性
90年代に入り馬連が導入され、
1頭の中心馬を発見する手法は連勝式馬券にも
生かされるところとなり、更に21世紀からは
馬単、三連単といった新賭式の馬券が導入により、
こうしたアプローチは馬券攻略という意味で
更に重要性を増すように思います。
・若駒のパドック
ここからは昔の話となりますが、
私(杉本)の体験したエピソードなども交えて
馬券理論についてご紹介して行きます。
さて、「パドックで先頭を歩く」というのは、
度胸をつけるという意味で若駒には
良い経験になるといわれることがあります。
実際に2歳の大レースでは、「1枠1番」
(または2番)を経験している馬が
活躍することがあります。
・知られざる馬券のコツ
もちろん、「1枠1番」には内枠からの
発馬で揉まれて鍛えられるという意味もあり、
そうした面からは、連続で内枠に
配置されている馬も狙い目になりますが、
このような視点も、馬券のコツとして
知っておいて損はありません。
・朝日杯フューチュリティSの事例
例えば朝日杯フューチュリティSを例に取ると、
03年は4頭いた「1枠1番」経験馬の中の
2頭が1着・2着し、3着馬はデビューから
4番・3番・3番の連続内枠配置の馬でした。
05年の1着馬フサイチリシャールも
朝日杯フューチュリティSの直前、
2番・3番・2番の連続内枠で連勝した馬です。
また、00年10番人気1着のメジロベイリー、
01年9番人気3着のスターエルドラード
といった波乱の主役となった馬は、
デビュー戦で「1枠1番」に配置された馬です。
・ある馬との邂逅
さて、話は昭和48年の話に飛びます。
その馬と出会ったのは、
ハイセイコーフィーバーに沸いた昭和48年、
晩秋の府中のパドックでした。
新馬或いは未勝利等経験の少ない馬が
パドックで先頭を歩く1番枠の場合、
時にいなないたりして不安げに見えることも
多いのですが、昭和48年の晩秋に見た
牝馬はデビュー戦にもかかわらず
威風堂々他馬を従える趣で、あたりを
睥睨しつつ周回していたのが印象的でした。
・新馬戦からの応援
私(杉本)はその数年前から競馬に興味を持ち
TVではよく見ていました。
従って、当時すでにそれなりに
ひいきの馬もいましたが、競馬場へ足繁く
通いはじめたのはこの年からであり、
新馬当時から思い入れを持って
見守ったのはその馬が最初でした。
・活躍の予感
デビュー戦から特定の馬の成長を見続けるのも、
競馬の楽しみ方の一つです。
私の目にとまった鹿毛で小柄ながら
均整のとれた馬体のその馬は、
気性の強さがマイナスに作用し3戦目までは
後方ままの繰り返しでした。
しかし、明けて当時の馬齢表記で4歳、
現在なら3歳の初戦、当時の若手騎手で
後のダービー騎手、中野栄治現調教師を背に
その馬は2着と好走しました。
・クラッシック戦線へ
次走で見事に初勝利をあげた後、
特別戦でも人気薄ながら2・3着と好走して
以後は島田功現調教師に乗り替わりました。
当時の島田功騎手はオークス2連勝中であり、
巷間「牝馬の島田」またはタケホープで
ダービーを制したこともあり
「府中2400のスペシャリスト」等と
評されておりオークスへと期待が膨らみます。
・戦国オークス
島田功騎手は期待に応えて特別戦2着の後の
平場を勝ち上がり、その馬、トウコウエルザを
オークスへと導いてくれました。
この年の4歳牝馬戦線は、後に名牝として
不動の地位を築くイットーを始め、
有力馬の離脱が相次ぎ桜花賞馬タカエノカオリも
オークスを前に引退という状況でした。
・オークスを快勝
そのためか、私がデビューから応援してきた馬
トウコウエルザは島田功の騎乗や血統が評価され、
前日段階では一時的に1番人気に支持されました。
最終的には9番人気に落ちついたものの
レースでは3コーナーまでの経済コースから
一転して直線六分処一気の島田功騎手の
騎乗が嵌り、同騎手オークス3連勝、
パーソロン産駒のオークス4連覇となりました。
・オッズ分析戦術の端緒
この、前日1番人気、最終9番人気の馬が
快勝したという事実は、「過剰投票」分析の
方向性を見出すきっかけともなりました。
すなわち、私(杉本)のオッズ研究履歴は
30年以上に渡っており年季が入っています。
・名牝トウコウエルザ
その後、トウコウエルザはクイーンカップ、
ビクトリアカップ(現在のエリザベス女王杯)
を制し、5才秋には現在は京成杯として
行われる京王杯オータムハンデで2着し、
当時3200Mだった秋の天皇賞でも
牡馬に伍して3着と一流の競走成績を残しました。
・京王杯オータムハンデ
トウコウエルザの活躍したこれらの
レースの中で、もっとも鮮明に記憶に
残っているのは、京王杯オータムハンデです。
このときは春2戦凡走の後、休養明けで
臨んだので、8頭立て8番人気でした。
鞍上は再び中野栄治騎手となり、また、
トウコウエルザの一代前のオークス馬
ナスノチグサも出走していました。
・女王の競演
島田功騎手によってオークス馬へと
導かれたパーソロン産駒2頭がここで
巡り合ったわけですが、
これぞ競馬のロマンとばかりにナスノチグサが
トウコウエルザを従えてゴールし、
枠番連勝は万馬券となりました。
30年以上前のことですが今でも
このゴールシーンはよく覚えています。
・予想というより理想
ところで、このレースでナスノチグサ、
トウコウエルザの2頭に◎○をつけた
専門紙のトラックマンがいました。
予想と理想が一致したように思えたその印が、
30年後私がロマンある「予想」で
的中をめざす、この拙文を書くこととなった
源泉の一つかも知れません。
・キタノカチドキのダービー
そのトウコウエルザが勝ったオークスの翌週は、
枠連時代の同枠取り消し対策制度である
「単枠シード」が初めて適用され、
対象馬の圧倒的な1番人気馬、
キタノカチドキが3着に敗れたダービーでした。
当時から競馬の枠順にはなにがしかの
意匠があることは、すでに活躍されていた
井崎脩五郎氏の文などで知っていました。
・競馬面白データ
たとえば、当時のダービーでは
「一番人気と同行の頭文字を持つ馬の
配置された枠が連対する」、との説などです。
実際この年もキタノカチドキの
頭文字「キ」と同行、すなわちカキクケコ行の
頭文字を持つ馬3頭が1、2、5枠に配置され、
結果は枠番連勝2ー5でした。
・暗号解読馬券への展開
その2枠には、当時は28頭立てだったので、
優勝馬コーネルランサーの他に2頭の馬が
入っていましたが、その3頭すべてが
種牡馬「セダン」の仔だったのです。
その事実になんらかの意味があるのではないかと
考えたのが、私の「暗号解読」の原点でした。
その後研究を続け、数年で暗号解読理論は完成し、
以後、馬券で負けることは全く無くなりました。
|