サッカーを通して見る競馬(馬券)観
・プロローグ
まもなく、2006年サッカーW杯ドイツ大会が
開幕しますので、今回よりしばらくの間、
サッカーに関連する話題を取り上げて行きます。
・サッカーワールドカップ
94年のサッカーW杯アメリカ大会決勝、
ブラジルvsイタリアは延長の末にPK戦まで
もつれる熱戦でした。
日本でもJリーグ発足以来サッカーが人気を
得ている時であり、この大会辺りから、
実況あるいはニュースでサッカーW杯を
ご覧になった方も多いと思います。
その後、日本も98年フランス大会に出場し、
地元開催の02年大会においては予選リーグを
突破したので、世間一般のサッカーW杯に対する
認知度は高まりました。
・ジーコのブラジル
サッカーW杯の数ある決勝戦の中で、
私が強く印象を残しているのは、
アルゼンチン対西ドイツの86年大会です。
私は当時海外に居住しており、
そのアルゼンチン対西ドイツの衛星中継は、
ブラジル人が経営するパブのTVを見ていました。
この大会のブラジルは、
ジーコ・ファルカン・セレーゾ・ソクラテスの
いわゆる黄金の中盤といわれながら、
現日本代表監督のジーコさんのPK失敗などで
準々決勝で敗退しました。
競馬に例えるならば、予想技術は完璧だが
予想の作業に終始して「馬券に勝つ技術」に
欠けていたというところでした。
・結果は如何に
さて、ブラジル敗退という状況の決勝ですから、
ブラジル人のパブは開始前から店内荒れ模様です。
普段は大変なライバル意識を燃やしていますが、
W杯決勝で対ヨーロッパとなるとそこは
南米のよしみで、ブラジルの方々、
熱烈にアルゼンチンを応援します。
試合はアルゼンチンが快調に2点先行し、
店内はバルダーノ、マラドーナと巻き舌連呼の
大盛り上がりです。
ところが点が取れないはずの西ドイツが
アメリカ大会で監督を努めたフェラーを中心に
ゲルマン魂で終盤反撃し、ルンメニゲが決めて
ついに同点!の瞬間、激高した酔っぱらいの
ドロップキックでTVが破壊され、
結局その日は結末がわからずじまいだった
思い出があります。
(結局、延長でアルゼンチンがV)
・サッカーの質と馬券の技術
さてこのW杯決勝クラスの国のサッカーの質を
馬券上級者の技術に置き換えて見ましょう。
86年のマラドーナ・アルゼンチンのように
傑出した選手を軸としたチームは、
独自の優れた馬券作戦を持つ馬券師といえます。
但し、サッカー選手にも寿命があるように、
馬券戦術も普遍性があるとは限りませんから、
こうした形では常に次代の主力育成が鍵となります。
(マラドーナ後のアルゼンチンは一時凋落)
高い個人技の選手を揃えあらゆる意味の「技術」で
相手を翻弄していくブラジルは、さまざまな戦術を
状況に合わせて使いこなす馬券プロというタイプです。
しかし、サッカーの個人技の部分は馬券に置き換えれば
「主観」の範疇ですから、無敵の強さを発揮する反面、
自己管理を失うと一気に崩れる危険と背中合わせでも
あるといえます。
日本も一時実践した、早いプレスから速攻を仕掛ける
モダンサッカーは、予想よりも買い方に長けた
馬券生活者といったところでしょうか。
この方式は閉塞した局面を打開出来る決め手に欠ける
ことがあるので、勝負どころが見出せないとジリ貧の
可能性があり勝ち抜くには、いわゆる博才が必要です。
・ギャンブル的フィリップ・トルシエの評価
その点、02年大会で日本を指揮したトルシエ氏は、
最後のトルコ戦では奏効しなかったものの、
博才のある人物であったといえるでしょう。
アフリカ諸国の監督を歴任した時代から
トーナメントで実力以上の位置まで勝ち進み、
日本でもWユース、シドニー五輪、アジアカップ、
コンフェデ杯で成功し02年大会も決勝トーナメント進出を
果たしたのはかなりの実績です。
また、トルシエ氏を「勝負師」として評価したいのは、
日韓W杯の日本のレギュラー選手の平均年齢が
23歳強と出場チームで最も若かったことです。
ドイツW杯の日本代表ジーコ監督がメンバーを
ほぼベテラン一色で固めたように、
とかく外国人監督の場合、在任期間中の実績に腐心し、
去った後には次世代が育っていない状態になりがちです。
しかし、動機はともかく、ベテランを積極登用すれば
安全に実績を出すことが可能だったにも拘わらず、
次の大会にも主力となり得る選手のみで戦い
そこそこの結果を残したことはトルシエ監督の
功績の部分であるといえます。
・カウンターで勝つ馬券術
馬券戦略も同様で、勝っているときでも常に
次を見据えて新たな戦術を育てる努力を怠らず、
革新して行く者だけが、常勝のレベルにまで
到達できるといえます。
ところで、拙文をお読みいただいている
皆さんの中には既に馬券上級者もおられると
思いますが、数としては初級から中級レベルの方が
多いのではないかと推察します。
馬券の初級者は、プロ級の馬券上級者或いは
暗号馬券ならばそれをコントロールする人に対して
格下の存在です。サッカーで格下のとるべき戦術は……。
そう固く守ってカウンター狙いです。
具体的には馬券で固く守るとは、
むやみに多数のレースや多額の馬券を買わないことであり、
カウンター狙いとは数が少なくとも単純で確率の高い
独自の予想法を身につけることです。
そして1点取ったら(あるレースで大きく儲かったら)
自陣に引いて守る(それ以上無闇に馬券を買わない)。
馬券の初級者は2点目、3点目は簡単には取れないことを
自覚すれば、勝ち試合に持ち込むことも容易になります。
単純で確率の高い独自の予想法の実例を上げるならば、
中舘英二騎手と細川英二・元騎手は名前が「英二」で
同一でした。1995年前半この二人が同枠に配置されたことが
4回ありましたがすべてどちらかの騎手が連対しています。
半年にたったの4回ですがとにかく堅い「暗合」データ
ではあります。こんなのを幾つか探して、
ともかく、最初は手を広げず自分なりに一つの予想法を
マスターする、サッカーでいえばワントップに好選手を
配置することが勝利への道です。
やがて経験を積んで馬券の技量がアップすれば、
高度な戦術に切り替えてW杯クラスを目指せばいいでしょう。
最初に勝利を目指すところから出発しないと、
いいサッカーはするんだけど勝てない、
すなわち予想はいい線なんだが馬券に結びつかない
状況になって、最終レースの馬連勝負馬券が1着3着で
オケラという「ドーハの悲劇」を何度も体験することに
なります。
馬券で勝つために最も必要なものは「勝負強さ」です。
・得点感覚とは
ところでサッカーには「得点感覚」という表現があります。
これと競馬の「馬券で勝つ感覚」は非常によく似ています。
これについて、95年発行の単行本では
「いずれ機会があればその比較論にチャレンジしようと
考えています」とまとめていますが、
サッカーにおける「得点感覚」とは、様々な概念を
含みますが次のような見方をすることも出来ます。
確率として次はこうなるという予測に基づいて
行動するのではなく、常に可能性は低くとも、
もし次にこうなれば得点出来るという願望に
基づいてプレーを行い続けること。
つまり、常に「次どうなれば得点出来るか」を
予想してプレーするスタンスを貫くこと。
やや具体的な例に言うと、
「ディフェンダーが左前方へクリアしそうだから、
コースを塞いで味方に貢献しよう」、
ではなく
「もしディフェンダーがクリアミスをした場合、
右後方へ転がれば点が取れるから取り合えず
そこに走り込んでおこう」、というプレーを
「勘良く、図々しく」90分続けることです。
こうしたプレーを続ければ、うんざりするほどの
失敗の後に決定的なチャンスを掴むことになるので、
「得点感覚」に優れた「点取り屋」といわれる選手ほど、
攻撃の時に「消えて」いることも多くなります。
逆にいえば、点が取れそうな局面の「予想」と同時に、
スタンスを貫けるだけの自信が必要である訳で、
これは「ギャンブラーの資質」に直結しますから、
サッカーの「得点感覚」と競馬の「馬券で勝つ感覚」は
非常によく似ているという言い方が出来るわけです。
・馬券における得点感覚
つまり、「予測」ではなく「予想」に長け、
スタンスのぶれが無い選手が「得点感覚」に
優れるという見方をすることが出来ます。
予測=将来の事態を前もって客観的に推し量ること。
予想=将来どうなるか前もって主観的に見当を付けること。
サッカーにおいて「得点」するということは
中々難しいことであり、馬券で勝つという命題にほぼ
匹敵するといえますが、この言葉の微妙な違い、
すなわち「想」の部分に成否が集約されるといえます。
(言い換えれば知識と知能の違いです。知能が必要)
何も考えずにボールの行方だけを予測している選手は
点を取れませんし、同じく「予想」をせずに作業に終始
していては馬券で儲けることはできません。
また、プレーの選択基準が確率によるその都度の判断
ではやはり点は取れず、同じく馬券の買い方が状況に
より変化して統一性が無ければ儲けることは出来ません。
最後に、サッカーの「得点感覚」の定義を馬券に置き
換えてまとめると次のようになります。
的中確率だけを追い求め、負けないための馬券を買うの
ではなく、常に可能性は低くとも、もし取れば確実に
儲かるという願望に基づいた馬券を買い続けること。
つまり、常に「どうすれば大きく儲かるのか出来るか」を
基本に予想をして馬券を買うスタンスを貫くこと。
・自分の力で考えよう
このようにして「馬券感覚」を磨けばその裏返しとして
「効率の悪い馬券」を見分ける嗅覚も発達し、
負けなくなってきます。こうした感覚を身につけるには、
「予想(自分の力で考えること)」が必要不可欠です。
また、W杯などの際に、FW出身の解説者が「点を取れる
選手は何故取れるのか」、について言及することが
あれば、聞いておいて損はないと思います。
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