ZKEIBA

 


スポーツとギャンブル

2001年01月17日(水)

女子マラソンが教えてくれること(高橋尚子編)
2001年01月19日(金) 女子マラソンが教えてくれること(有森裕子編)
2001年01月26日(金) 大学ラグビーの教えてくれること@
2001年01月30日(火) 大学ラグビーの教えてくれることA
2001年02月01日(木) 大学ラグビーの教えてくれることB
2001年02月14日(水) マルチナ・ヒンギスの教えてくれること@
2001年02月16日(金) マルチナ・ヒンギスの教えてくれることA
2001年03月01日(木) プロボクシングの教えてくれること
2001年08月20日(月) 女子マラソンが教えてくれること(世界陸上編)−1
2001年08月22日(水) 女子マラソンが教えてくれること(世界陸上編)−2
2001年10月01日(月) 女子マラソンが教えてくれること(べルリン編)
2002年09月05日(木) ギャンブル的プロ野球日本シリーズ
2002年07月16日(水) 馬券予想理論(復刻)−13
2002年07月18日(金) 馬券予想理論(復刻)−14
2002年07月24日(木) 馬券予想理論(復刻)−15
2002年07月28日(月) 馬券予想理論(復刻)−16
2002年07月30日(水) 馬券予想理論(復刻)−17
2002年08月05日(火) 馬券予想理論(復刻)−18
2002年08月07日(木) 馬券予想理論(復刻)−19
2002年08月11日(月) 馬券予想理論(復刻)−20
2002年08月13日(水) 馬券予想理論(復刻)−21
2002年08月15日(金) 馬券予想理論(復刻)−22
2002年08月19日(火) 馬券予想理論(復刻)−23
2002年08月21日(木) 馬券予想理論(復刻)−24
2002年09月08日(月) 女子マラソンが教えてくれること−6
2002年09月10日(水) 女子マラソンが教えてくれること−7
2002年11月13日(木) 馬券予想理論(復刻)−32
2002年11月15日(土) 馬券予想理論(復刻)−33
2002年02月04日(水) 女子マラソンが教えてくれること−8
2002年02月16日(月) 女子マラソンが教えてくれること−9
2006年05月 サッカーを通して見る競馬(馬券)観06年5月

女子マラソンが教えてくれること(高橋尚子編) [2001年01月17日(水)] 
 メジャーなスポーツは、様々な意味で競馬予想に多くの示唆を与えてくれるが、陸上、水泳、スピードスケート、距離スキー、自転車などの競走競技のセオリーには、直接的に役立つことも多い。また、逆にそれらの競技を競馬のセオリーで予測することも可能である。今回はその競走競技中から陸上の女子マラソンについて取り上げてみたい。
 
シドニー五輪での高橋尚子選手の金メダル獲得は、皆さん良くご存知のことと思うが、レース後の小出監督のコメントには、注目すべき点が幾つかあった。その一つを挙げると、小出氏は記録(タイム)について、「高橋尚子は平坦コース、イーブンペースなら世界最高タイムなんて、いつでも出すことが出来る」と豪語している。
 
裏を返せば、陸上競技の中・長距離では、イーブンペースだと良いタイムが出るものの、それは選手の地力を一面的にしか示しておらず、強い選手とは、「レベルの高いレースで、駆け引きによる激しいペースの上げ下げの中を、生き残って勝ちきる選手のことである」、ことを意味している。
   
すなわち、この原則を競馬に当て嵌めるならば、一般に良く用いられる勝ちタイムだけでの実力評価、予想というのは実は余り意味がないということである。実際プロは勝ちタイムによって馬を評価することはせず、ラップによりタイムの価値を判断することが通例である。小出氏の発言は正しくタイムに対するこうした考え方の必要性を裏書するものといえるだろう。
 
ところで、シドニーではレース前の時点で高橋尚子選手は競馬で言えば▲(3番手)評価であった。◎(1番手)評価は追い込み及ばず銀メダルに終わったルーマニアのシモン選手。彼女の敗因は、月経周期による体調不良と伝えられているが、類似したことは競馬の世界でも良くある。言うまでも無く、春先から初夏にかけての牝馬のフケ(発情期)であり、該当する時期の馬券作戦では常に注意が必要である。
 
また、○(2番手)評価はケニアのロルーペ選手だったが、この選手は「臨戦過程」が立て込んでいて、牝馬(女性)は特にレース間隔が重要、とのスポーツとしての競走(競馬)常識からは消しの感があった。ただ、高橋尚子選手も過去1年の出走回数は1回で問題ないものの、世界選手権が当日出走取り消しで、その結果名古屋女子マラソンから本番までの間隔が短く、順調さを欠く感は否めなかった。
 
しかも、世界選手権を取り消したため、GVのアジア大会の経験しかない状態で、GTのオリンピックに出走することになり、上級条件ではクラス経験が重要であり、いきなり2クラス上への挑戦は厳しい、というスポーツとしての競走(競馬)常識からは疑問も残るところであった。にもかかわらず金メダルが取れたということは、頭抜けて強いということである。
 
競馬予想には「短期間の3連勝馬は強い」との格言があるが、これは競馬では勝つとクラスが上がるので、3連勝とは元いた条件の2つ上のクラスまで一気に勝ったということであり、成し遂げた馬は相当に強い、ということを意味している。つまり、国際大レース経験なしでオリンピックを勝った高橋尚子選手は相当に強く、大きな故障さえなければアテネでも上位争いは必至であると考えられる。
 
ところで、この高橋選手は笠松競馬場に程近い岐阜市の出身であり、育った水、練習の環境ともに笠松の馬に相通ずるものがある。つまり、21世紀の競馬Bで解説した笠松所属馬の強さと相通ずるものが有るのかも知れないと考え、高橋選手とオグリキャップを対比することは競馬ファンにとってロマンのある話であろう。(続く)

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること(有森裕子編) [2001年01月19日(金)] 
 ZFLAGPに添付した「競馬の奥義」の「格言2」の中で具体的に解説したが、競走馬が全力を尽くして戦った場合、その筋肉、循環器、細胞レベルの快復には、それぞれに必要な日数がある。そしてその日数を元に出走馬の臨戦過程を評価することが、競馬予想の一つの基本であり、牝馬の場合特にこの視点が重要となる。
 
人間の女性の場合も同様で、マラソンのような耐久競技の場合、循環器、細胞レベルでの快復度合いが、力を発揮出来るか否かの目安となる。それに必要な具体的日数の詳細については、「競馬の奥義」の中のみでの公開とさせていただくが、簡略した結論だけ述べておくと、女子マラソン選手の場合、力を出し切るためには、少なくとも前回の勝負レースから、概略224日は間隔を空けた方が良いといわれている。
 
さて、前回はシドニー五輪について述べたので、今度はアトランタ五輪について、そのレース間隔というポイントを踏まえて、競馬予想的視点からの解説を加えて見たい。アトランタ五輪、女子マラソンの予想は比較的簡単であった。その理由は2つある。1つは、その前のオリンピックであるバロセロナとマラソンの開催条件が近く、かつ前回の@・A着選手、競馬風に言えば「格上選手が複数」出場していたことである。
 
開催条件の近似とはすなわち、夏季開催の高温レースでかつ、坂の多いコース設定であったことである。競馬でも直線に坂のある、東京、中山、阪神、とその他の競馬場の実績は分けて考えなければならないが、マラソンでもアップダウンの有無は大きなポイントである。また、競馬では同条件レースの連対経験馬が上位人気を占めていれば、馬券的に堅く収まる傾向が強いが、この点はマラソンでも同じである。
 
2つ目のポイントは、バロセロナの@・A着、ロシアのエゴロワ選手と日本の有森裕子選手が共に万全の状態で出走して来たことである。両選手ともに年齢的に下降期ではなかったし、前回の五輪出場権獲得レースからの間隔はエゴロワ選手12ヶ月、有森裕子選手11ヶ月と標準の224日以上で全く問題がなかった。予想としては、この2強を脅かす新勢力(上がり馬)がいるか否かを考えればよいレースであったといえるだろう。
 
その検討視点は、昨日述べた部分も含めた基本に、アトランタ固有の条件も加味すると、有力な国際レースで勝利を収め、かつ高温、アップダウンのレースで実績を残し、五輪出走権獲得レースからは概略224日は間隔の空いている選手を探すことである。そして、それに当てはまる選手は一人だけいた。エチオピアのロバ選手である。
 
この選手はアトランタ五輪の前年9月に行われたローママラソンの覇者で、そのレースで代表を確実にしている。そして、そのローママラソンは高温、アップダウンのある国際マラソンで、アトランタからは約10ヶ月前であるから、正にロバ選手こそが唯一新勢力(上がり馬)としてエゴロワ−有森ラインを崩す可能性を予見出来た選手なのである。
 
つまり、ロバ選手の快走は実況アナウンサーが連呼したほどに意外な結果ではない。また、エゴロワ選手のA着と有森裕子選手のB着は予想通りの結果と言えるだろう。一方、アトランタ五輪では、その年の冬から春に好タイムで3勝していた、ドイツのピピヒ選手が注目を集めていた。しかし、224日というスパンで考えて4回目のレースでは走り過ぎである。
 
また、ピピヒ選手の場合、勝ったレースも平坦コースのイーブンペースばかりなので、「コース適性」にも疑問が残り、予想通りに途中棄権という結果であった。世界選手権の優勝者である日本の浅利純子選手も期待されたが、五輪出走権獲得レースから180日程度の間隔の出走で、脚部不安と相俟って少し厳しかったようである。
 
このアトランタでの有森裕子選手の健闘が教えてくれるものは、トップクラス(GT級)のレースでは、正しいスポーツ的な知識により、実績(格)に基づく骨太の予想を行えば、大きくは外れないということである。

このページのトップへ↑

大学ラグビーの教えてくれること@ [2001年01月26日(金)] 
お正月に行われた全国大学ラグビー選手権では、関東学院大学が優勝した。高校日本代表経験者や、花園全国大会活躍選手が揃う早・慶・明や同志社といった伝統校のメンバーに比べ、高校時代に実績の無い選手が多いにも拘わらず、4年連続で決勝に進出し、そのうち3回優勝という実績は、大変素晴らしいものであるといえるだろう。今回はこの関東学院を中心に、大学ラグビーから競馬、或いは予想に関し得られる教訓について解説する。
 
大学ラグビーのトップリーグは、早・慶・明を中心とする関東対抗戦グループ、関東学院・法政・大東などの関東リーグ戦グループ、同志社・京産・近大などの関西リーグ、の3つに分かれている。関東リーグ戦グループの優勝校であった関東学院大学は、大学ラグビー選手権の1回戦で対抗戦グループ5位の筑波大と対戦した。
 
この試合、最終スコアは地力が出て大差がついたが、前半は拮抗した試合になった。その為ほとんどのマスコミでは、格下相手に前半互角ということで、「優勝を狙う関東学院、前半苦戦」或いは、「前半もたつく」といったニュアンスの見出しとなった。しかし、これは硬直した思い込み、勉強不足、手抜きによる、誤った理解なのである。
 
それは、関東リーグ戦グループの試合結果を少し詳しく見ればすぐに分かる。リーグ戦は8チームで行われているが、関東学院は最下位となった流通経済大学戦では、最終的には56点差で勝ったものの、前半の半ば過ぎまではリードされていた。6位の中央大学戦も最終スコアは54点差だが、前半は1トライに抑えられる接戦であった。
 
すなわち、関東学院は格下相手の場合、相手が必死で食い下がってくる前半はその勢いをいなして消耗を避け、格下チームの気力、体力に陰りが見える後半に一気に差をつけるという戦略で戦っていることがスコアデータから見てとれるのである。従って、筑波大学戦も「関東学院、ゲームプランに沿って快勝」、が妥当な評価であるわけだ。
 
それを裏付けるのは、力量差の少ない相手と対戦したときの試合経過である。リーグ戦グループの試合で2・3位の法政・大東大学と対戦したときは、格下戦とは全く逆で後半は相手チームの方がスコアが上であった。つまり、前半からフル回転で攻めて点差を付け、後半は反撃を凌いで逃げ切るという戦略に変わるのである。
 
大学選手権でも同様で、筑波戦の次の早稲田大学戦では、開始5分で2トライを挙げ、一気に優位にたっている。こうした、臨機応変なゲームプランは、勝負に携わるものとして見習たい点であるといえるが、筑波大戦を「前半苦戦」として片付けてしまうような、表面的なものの見方では、本質を見据えることは出来ないのである。
 
その短絡な見方の結果として、早稲田大学戦に続く準決勝の同志社大学戦では、多くのマスコミが「同志社有利」と報道したが、その予想は外れ関東学院の快勝であった。キャリアのある競馬ファンの方なら実感されていることと思うが、競馬の予想記事にもこうした、硬直した思い込み、勉強不足、手抜きを感じさせるものは多い。
 
もちろん、競馬の予想報道はアマチュアスポーツの結果予測とは異なり、専門紙などは競馬サークル内の運命共同体である、競馬予想は金に絡む、ことなどから、ある種の制約があることも確かではあるが、それ以前の問題としてものの考え方や前提となる知識が不足し、単に短絡な主観が述べられているだけで、客観的な予想とはいえないようなケースも少なくない。(続く)

このページのトップへ↑

大学ラグビーの教えてくれることA [2001年01月30日(火)] 
全国大学ラグビー選手権の準決勝、関東学院大vs同志社大学戦では、多くのマスコミが「同志社有利」と報道していた。しかし、競馬の予想的な視点からすれば、同志社は「危ない人気馬」であったといえる。確かに、選手の資質やここまでの戦績は抜群であり、主観的な期待を抱かせるに十分であったが、一歩下がってみれば準決勝で有利とするほどの実績は無かったのである。
 
例えば、関西リーグで同志社が圧倒した他のチームが、大学選手権では全て1回戦で負けていることから、同志社大には接戦経験の不足に対する不安があった。その一方、関東学院の属する関東リーグ戦グループは、結果的に決勝へ進んだ法政大などの上位は勿論、下位チームのレベルが最も高いリーグであり、関東学院は厳しい局面の経験では同志社よりも遥かに恵まれていた。以前笠松競馬のレベルについて書いたときに述べた通り、厳しい実戦により選手、チームが成長するのはスポーツにおける原則である。
 
つまり、同志社大は競馬で言えば、弱敵相手に素質で圧勝を続けて来た馬が、初めて厳しいメンバーと対戦するようなケースであったといえるだろう。競馬では2歳・3歳の馬齢戦でこうしたことが良くあるが、キャリア不足を露呈して凡走する危険が大きく、人気になっていれば見送りがセオリーである。逆に言えば、「馬齢戦」とは、「実績がアテにならない」ことを意味している斤量区分であるわけだ。
 
また、ここまでの試合運びを見ても、素質に任せて成り行きで押し切ってきた同志社よりも、前回解説したように、ゲームプランに沿って戦っている関東学院に一日の長がある感は否めないところである。例えば、同志社は1回戦で関東リーグ5位の専修大と対戦したときに、関東学院とは対照的に前半大差、後半互角という試合運びをしており、そこには戦略性は感じられない。更に、この両校は準々決勝では、関東対抗戦グループで接戦だった、早稲田、明治と対戦して勝ったが、その内容から地力には大差はないと思われた。
 
これら諸々を勘案すると、もしイギリス式にブックメーカーが存在していたら、経験、戦略で上回る関東学院に賭ける一手であるが、案の定ゲームは関東学院の完勝になった。
ゲーム後に多くのマスコミが、「接点(相手と接触した場面)のプレーと、ゲーム運びに思いのほか差があった」と評したが、客観的に見ればそんなことは試合前から分かっていたことである。競馬の予想記事も、本質的にこのラグビーの報道と大差ないものが多く、レースが終わってからの結果論にウンザリさせられることがしばしばである。(続く)

このページのトップへ↑

大学ラグビーの教えてくれることB [2001年02月01日(木)] 
全国大学ラグビー選手権準決勝のもう一試合、慶応大vs法政大は、ほぼ全てのマスコミの予測記事が「慶応圧倒的有利」であった。しかし、これも予想の原則に沿って考えるならば、甚だ主観的な判断であり、慶応に絶対的に有利な予測材料が揃っていたわけではない。慶応大を圧倒的有利とした記事は、概略次の様な点を根拠としていた。
 
・前年度の全国大学ラグビー選手権優勝校で、主力選手は卒業していない。
・今年度対抗戦グループで危なげなく優勝している。
 ・選手の質が高く、チーム戦術も明確で試合運びが安定している。
・対する法政大はリーグ戦グループで関東学院大に敗れ2位である。
 
しかし、これらの点は予測の根拠としては客観性を欠くものであるといえる。まず、前年度優勝校でかつ主力選手が残っていることは、確かに有力視すべき材料である。しかし、スポーツの予測として考える場合、慶応大の決勝進出は近年では昨年だけなので、「実績が1回」という点から過大な評価は出来ない。この、「予想に際しては、複数回の実証があるもののみを実績と考える」というセオリーは、競馬予想でも常に念頭に置かなければならないものである。ちなみに、関東学院大の場合、「3年連続決勝進出」という、複数回の実績を背景としているので評価出来るわけだ。
 
また、対抗戦グループにおける「危なげない」試合の連続は、前回述べた同志社大と同様に、厳しい局面に対する経験不足の不安を感じさせる。逆に、法政大は関東学院大戦はもちろんのこと、リーグの最終戦で選手権出場を目指す6位の中央大の善戦に苦しめられるなど、チームの成長に繋がる接戦の経験は十分であった。
 
更に、選手の質の点は、慶応も高いが実は法政も高校時代からトップレベルだった選手が揃うチームであり、慶応のチーム戦術が明確であるということは、徹底して研究され、対策を講じられる危険と裏腹である。つまり、これらの諸点は、他のデータにより絶対的な戦力差が証明されれば、予想の根拠となり得るものであるが、これを理由として有利という結論が導かれる種類のものではない。この辺りは競馬の予想においても誤りがちな点である。
 
それでは、客観的な数字で慶応大と法政大の戦力を検証したらどうであるか。公式戦における、共通の相手との対戦スコアは次の通りであった。
・慶応大35−14帝京大/慶応大78−31大東大
・法政大35−29帝京大/法政大64− 7大東大
対戦時期や状況が異なるので、具体的な点数比較はともかくとしても、全体イメージとしては大きな差はなく、慶応の優位を示すものとは言えない。
 
また、この両チームは前年の大学選手権の1回戦で、対抗戦1位とリーグ戦5位として対戦し、33−7のスコアで慶応が勝っている。しかし、内容的には接戦であり、前半終了近くまで0−0で進み法政が先制点を取っている。また、その試合と今回を比べると、主力選手の出場、欠場の差し引きで、メンバー的には差が詰まっている印象があり、法政の順位もリーグ戦5位から2位に上昇している。
 
これらの事実を勘案すると、前年優勝の経験から慶応有利と見るべきではあるが、慶応側の厳しい局面に対する経験不足を考える時、差は小さいと予測するのが妥当な線であろう。
そして、結果として法政が勝つわけだが、慶応サイドから見た場合最大の敗因は、攻撃戦術が余りに硬直していて、法政の対応策を突破できなかったことにある。柔軟なゲームプランを準備していれば、接戦でも慶応が勝てた試合だと思うが、やや甘く見たところに、上記して来たような事由が重なり、法政のペースに終始する試合となった。
 
競馬番組には、「同じ方法では予想を的中し続けることが出来ない」ような工夫がなされている。従って、慶応大学のように同じ戦術で攻めつづける、つまり全レース一律に同じような基準、資金で馬券を買って、尚且つトータルで勝つことはプロでも至難のワザである。
 
同じような基準、資金で買うならば、的中出来る確率が高いレースを選定する手法を採用する、又は、少点数高配当的中に的を絞りある程度外れてもトータルで勝つ、といった工夫が必要になってくる。ギャンブルでは自らのフォームを確立し、それを徹底させることは最重要課題であるが、そのフォームには予め臨機応変の柔軟性を持たせておく必要があるわけだ。この点は別の機会に詳しく解説したいと思う。

このページのトップへ↑

マルチナ・ヒンギスの教えてくれること@ [2001年02月14日(水)] 
 競馬における「牝馬」特有のセオリーを知る手立てとして、女性トップアスリートを参考にするシリーズから、今回はプロテニスの一流選手を事例として解説したい。現在、女子プロテニス世界ランキング1位は、日本でも知名度が高いマルチナ・ヒンギスである。
 
ヒンギスは16歳であった1997年シーズンには、競馬で言えばGT格に当たる、全豪、全仏、全英、全米の四大大会シングルスで@着3回、B着1回と抜群の実績を残し、グラフ、セレスを抜き去り、世界ランク1位に昇った。しかし、翌98年には、GV格のダブルスでこそメジャー全制覇を果たしたものの、シングルスでは@着1回、A着1回、B着2回と前年より後退した。
 
実績が停滞した原因には、ヒンギスが総合力型の選手で攻撃面での決め手を持たないため、手の内を覚えられて厳しくなったという面もある。しかし、現実にダブルスではグランドスラムを達成しており、技術面よりも、17歳になり体型の変化で体が重くなったことが相当に影響したと考えらる。
 
女子アスリートの場合、この「出産適齢期」にさしかかることによる加重は切実な問題になる。つまり、新たな体型に合わせた技術を再取得しなければならず、成熟していない身軽な状態で競うことが一般的となった女子器械体操競技では、この時期に一線を退くことが一般的である。98年のヒンギスは徐々に順応したものの、対応しきれなかったわけだ。
 
さて、98年の全米オープンでそのヒンギスを破ったリンゼイ・ダベンポートは、当時22歳であったが、それまでは目立った実績のない選手だった。このプレーヤーは20歳を過ぎてから伸びてきたというタイプであるが、10代で技術が未完成の状態のときには、ケガなどの影響もあり、意識的に脂肪を付けて「太め残り」にしておいたようである。
 
すなわち、身体が未発達の身軽な状態でのプレーを覚えさせず、最初から成熟した体型を想定して太め残り練習を積み、技術、年齢が適度になったタイミングを見計らって筋力トレーニングを重点的に取り入れ、脂肪を筋肉に転換させて体を絞り、「スピード対応」を計る「女子選手独特の仕上げ方」を行ったと思われる。
 
過日このコーナーで取り上げた、オリンピックメダリストの有森裕子さんにしろ、高橋尚子さんにしろ、高校、大学時代は無名ランナーであり、そこにはこうした仕上げのニュアンスが伺える。そして、競馬の牝馬についてもこうした考え方は明確に存在し、それを理解することにより好配当馬券の的中に繋げることが出来るのである。(続く)

このページのトップへ↑

マルチナ・ヒンギスの教えてくれることA [2001年02月16日(金)] 
 俗諺で「夏は牝馬」と言われ、実際他の季節に比べて夏に牝馬が馬券に絡む確率はやや高い。その根拠として、牝馬は暑さに耐久力がある、というようなことも言われるが、生物学的にはそんな傾向もないことはない、という程度である。
 
それでは、なぜ夏に牝馬が活躍するのかというと、まず古馬の場合は、「冬に弱い裏返し」ということがいえる。この点については、情報メールでは既に背景を解説したが、要するに冬場に弱いので、夏を迎えたときに実力より下のクラスにいる事が多く、その結果として活躍が目立つ、という構図であるわけだ。
 
2歳の牝馬の場合は少しニュアンスが異なって、人間同様に牡馬よりも成長が早いので、デビュー直後の夏競馬では活躍できる、というようなことが良くいわれる。それもまた一面の真実ではあるが、より大きな理由は、前回ヒンギスを例に書いた成長の問題である。
 
2歳の夏から秋は人間でいえば10代の前半であるから、牝馬も競走に向いた体型をしており、この時期に仕上げられれば牡馬に対抗できるわけだ。つまり、2歳の牝馬の活躍を「早熟」の一言で片付けてしまうのは、表面的な理解であるといえるだろう。
 
一歩踏み込み、牝馬特有の成長によるマイナス面ということを念頭におくと、次のような問題意識を持つことが出来る。
「競馬の世界でも、競走能力の高い牝馬を末永く走らせて、牝馬限定戦などで地道に稼ぐために、リンゼイ・ダベンポートのように、成長して脂肪が付いた体型になってから競馬を覚えさせる、という仕上げ手法はないだろうか?」
 
そして、これはセオリーとして存在する。こうした発想で仕上げた馬が、中〜下条件を勝ち上がって来るのは、人間でいえば20歳を越える時期である、毎年3歳の夏ローカルから秋口にかけてである。この時期は3歳牝馬の活躍が目立ち、しかもこうした牝馬たちは、戦績が浅いか、長期休養後であるので好配当馬券をもたらすことが多い。
 
そこで、プロは毎年この時期に、遡上するサケを掬い取るヒグマの如く、こうした馬券を狙い撃つわけだ。また、3歳秋には、牝馬限定のGレースとして、ローズSや秋華賞が行われるが、そこでは毎年、ヒンギス(春の格上馬)対ダベンポート(夏以降の上がり馬)、の戦いが繰り広げられているのである。
 
さて、今回事例とさせていただいたマルチナ・ヒンギスは、1999年シーズンから再び上向きになったが、2000年は新たに台頭してきたビーナス姉妹に押され気味であった。しかしここに来て、今度はそのビーナス姉妹が成長の壁に当たりつつあり、再びヒンギス時代の到来か?という辺りがこの後の、全仏、全英の見どころとなっている。尚、女子テニスには他にも参考とすべき点があるが、それはまた機会を改めて書くこととする。

このページのトップへ↑

プロボクシングの教えてくれること [2001年03月01日(木)] 
  競馬の内幕、或いは奥義的な話題は情報メールの方へシフトし、この日記コーナーでは、他のスポーツを題材として競走、ギャンブルの本質を探るシリーズを書き継いでいる。

今回は「格」というキーワードをテーマに、プロボクシングを取り上げてみたい。ちなみに、ここまで様々なスポーツを話題としているが、私自身はこの分野が専門である。ボクシングの本場である欧米では、次の5項目に当てはまる選手を、超一流の世界チャンピオンとして評価する。すなわち、これはボクシング界における「格」を判断する基準である。

1.WBA・WBC認定ライト級・ウェルター級・ミドル級の世界王者。
2.連続5回以上の防衛。
3.傑出した生涯全成績。
4.適地での防衛経験。
5.一定水準以上のKO率。

まず、条件1であるが、例えばライト級とウェルター級の間に後に加えられた、スーパーライト級のような、階級を示す語の前に冠詞が付くクラスは、様々な理由により強い選手は避ける傾向があるので、スポーツ的には1枚格が下さがる。新設団体のタイトルも同様である。

また、ヘビー級は別格であるが、一般に重いクラス、軽いクラスは民族的な体格差により世界的には層が薄くなるので、結局、老舗団体の中量級が最もハイレベルであり、価値があると評価されるわけだ。

競馬においても、同じグレードのレースだからといって価値は一様ではない。その辺りを勘案した、本当の「格」に対する認識が曖昧であるために、大レースで無駄な馬券を買ってしまうケースが少なくないのだが、その具体例は次回解説したいと思う。

条件2と3はスポーツにおける「格」評価の大原則であり、競馬における戦績評価においても、基準とすべき考え方である。条件4は、ボクシングが判定スポーツであるが故に克服すると評価がアップする点であり、また、プロである以上集客力も重要な評価基準の一つであるから、条件5も加わってくるわけだ。

残念ながら、日本のボクサーには、これらの条件をクリアし、超一流世界王者として評価が定着している選手はいない。但し、先日リック吉村を相手に引き分け防衛を果たした畑山隆則選手は、最激戦のライト級のチャンピオンであり1・3・5の条件をクリアし、まだ上り坂の選手であるから、超一流となる可能性を残す選手である。

過去の日本人世界王者について縦覧すると、2・5の条件で傑出している具志堅用高さんは、当時新設のジュニアフライ級の王者であり、世界的にはそれほど有名ではない。軽いクラスではむしろ、白井義男さん、大場政夫さん或いはファイティング原田さんといった冠詞の付かないクラスで防衛を重ね、エキサイティングな試合をした選手が知られた存在である。

一方、重い方のクラスで実績を残した選手といえば、輪島功一さんがいるが、冠詞の付くジュニアミドル級なので知名度、評価はもう一つである。むしろ防衛はしていないものの、豪打で主要3階級に含まれるミドル級の王者となった、最近ではTV番組ガチンコでおなじみの竹原慎二さんが、日本人という珍しさも手伝って本場ではかなり知られた選手である。

それでは、日本人世界王者で上記の5条件に最も近い選手は誰なのか?といえば、最近のタレントとしてのイメージからは想像出来ないが、ライト級で5回の防衛を果たしているガッツ石松さんである。石松さんは実は凄い選手なのだ。 

今や天然系タレントとして定着しているガッツ石松さんだが、ボクサー時代の実績は中々素晴らしい。まず、ガッツさんが世界的に評価されたのは、中量級の歴代世界王者の中でbPと評価されることも多い、石の拳こと、ロベルト・デュランに挑戦して善戦したことである。この試合、石松さんご本人の懐述に拠れば、力の差が大きかったので壊される前に投げ出したとのことであるが、全盛期のデュランがてこずった試合の一つであり、盛り場での大立ち回りというような経歴と相俟って、破天荒な強打者との評価を得た。

その後、ルドルフォ・ゴンザレスを「幻の右」で8RKOしてライト級王座に就き、強敵を含め5度防衛を成し遂げ一流王者としての実績を積んだのである。また、王座を陥落したのも敵地で名ボクサーに数えられるエステバン・デ・ヘヘスに判定で敗れたものであり、評価が下がるような内容ではなかった。但し、石松さんの場合、生涯全成績が51戦36勝(17KO)14敗1分と負けが多いので、世界的な名チャンピオンとしては格付けされていないが、個性派王者として本場のマニアには知られた存在である。

さて、競馬に話を戻し、格付け、いわゆる「格」について解説してみたい。競馬においても、前回紹介したボクシングのような「格」を判断する基準が存在するが、その整理されたセオリーについては、情報メールの方に掲載することとして、ここではその概略を実例で説明したいと思う。

競馬において「格」を予想の根本に反映すべきなのは、「定量・GT」である。具体的には、どれだけ一流馬の条件を備えているかで「格」を判断し、取捨選択に生かせばよい。また、「定量・GT」以外のカテゴリーについては、勝敗が決する要因が馬の能力以外の部分にあることが多く、「格」を予想の基本とすることは殆ど意味がない。

970413皐月賞   G1 1番人気 4着 松永幹夫 57
970601ダービー  G1 1番人気 3着 松永幹夫 57

これは、メジロブライトの皐月賞、ダービーの成績である。どちらも1番人気に支持されたが連対すら出来なかった。1度はアクシデントで連対を逃すことがあっても、本当に地力あれば2連敗するものではなく、つまり、この時点でメジロブライトはクラッシックディスタンスのガチンコ勝負では世代のトップクラスの「格付け」ではない、と考えるべきである。
しかし、この馬にはその後次の様な実績もある。

971129ステイヤーズS G2 1番人気 1着 河内洋 芝3600
980125アメリカJC  G2 1番人気 1着 河内洋 芝2200
980322阪神大賞典   G2 1番人気 1着 河内洋 芝3000

3000Mを越えるレース2つを含むG2を3連勝している。長距離ならばG2では1枚上、すなわちGT級の「格」を持った馬と見るべきであろう。従って、「格」という面からその後のこの馬に対しては、3200Mの天皇賞・春は買い、それ以外の定量・GTは基本的には見送り、という結論となる。

980503 3京4 天皇賞(春)G1 2番人気 1着 河内洋
990502 3京4 天皇賞(春)G1 3番人気 2着 河内洋

980712 3阪8 宝塚記念  G1 2番人気 11着 河内洋
981101 4東8 天皇賞(秋)G1 2番人気 5着 河内洋
991031 4東8 天皇賞(秋)G1 3番人気 11着 河内洋

上記の結論を踏まえておけば、天皇賞・春では馬券に絡め、それ以外の3レースについては、新聞の印に惑わされることなく消して無駄な馬券を買わずに済む。これが「格」に対するプロ的な視点、技である。尚、メジロブライトは有馬記念でも連対しているが、「馬齢戦」なので別の考え方で予想すべきレースであるといえる。
 

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること(世界陸上編)−1 [2001年08月20日(月)] 
当コーナーの1月17日と19日に、「高橋尚子編・有森裕子編」として、陸上競技の女子マラソンのセオリーが示唆する競馬予想のポイントについて解説したが、その続編として先ごろ行われた世界陸上について取り上げてみたい。
(前回の記事は、1月/スポーツ・ギャンブルの記事、に掲載)
 
賞金レースの都市マラソンの場合は順位と同時に記録が重要となるので、ペースメーカーとなる選手が参戦し、30キロ辺りまで風圧を引き受けつつイーブンペース引っ張りスター選手をサポートする。しかし、五輪、世界選手権といった真剣勝負で順位を争うレースになると、各選手がお互いの仕掛けを読みあいながらの展開となり、競馬の大レースと予想のポイントが似てくる。
 
つまり、順位を争うマラソンは、スローペースの展開の中でペースを上げ下げして、自分より先に相手を疲れさせようとする駆け引きが重要となるので、結果の予想をする場合に最も重視すべきポイントは、競馬のGTレースと同様に、強敵相手のレース経験の有無である。
 
但し、世界選手権には五輪ほどのステータスがなく、経験不足の選手でも素質で通じる傾向がある。欧米ではロード耐久レースは、ツールドフランスに代表される自転車競技が標準で、マラソンは自転車に比べスピード感に欠け、耐久レースとしては時間も短いので、日本ほどの人気競技ではない。また、マラソンは年に何度も勝負出来る競技ではない。
従ってプロ的な活動が難しく、有力選手はレースを選択するからである。
 
五輪の場合、勝てば以降のプラスが大きいが、世界選手権はそうでもなく、今回も地力bPのテグラ・ロルーペ、五輪2着のジョイス・チェプチュンバ、その他キャサリン・デレバ、ローナ・キプラガトといった有力選手が賞金マラソンを目指してここを回避したため、レースの水準がかなり下がることが予想された。
 
これに対し日本では、マラソン、駅伝が国内の人気競技であり、企業アマという形態を持つので毎回世界選手権での日本選手の勝負気配は高く、レベルが下がる分成績も五輪より一段良い。そうした読みから、今回女子マラソンに参加した日本勢には、十分なレース経験を持つ選手はいなかったものの、勝負度合いから上位を争うと予想された。
 
日本選手の中では、まず初マラソンの大阪を好時計で勝った渋井陽子選手が期待されたが、素質が高いとはいえ、冬場の平坦マラソン楽勝1回のみの経験ではさすがに厳しいものがあり4着に止まった。経験不足ながら素質を買われて1番人気となり4着に敗退するのは桜花賞の定番であるが、よく似たイメージの結果であるといえるだろう。(続く)

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること(世界陸上編)−2 [2001年08月22日(水)] 
今回優勝候補筆頭と目されていたのは、有力選手の参加が少ない中で十分な唯一実績の備わっていたリディア・シモン選手である。
 
世界選手権で2回連続銅メダル、シドニー五輪では銀メダルと、海外での強敵相手の駆け引きレースの戦績は抜けており、夏マラソン、坂コースの経験も豊富で、競馬に例えれば必要かつ十分な実績を持つ信頼出来る本命であったといえるだろう。
 
また、シモン選手は入着続きでそろそろ世界タイトルが欲しいところという見方が出来、アテネ五輪まで間のあるここは勝負気配も十分であったが、レースでは同国の選手に前半アタック(逃げ仕掛け)させるロードレースの定石に沿った展開に持ち込み、予想通り完勝に成功した。ちなみに、競馬でも差しタイプが勝負馬のときは、逃げタイプの援護馬を使うことは常套手段である。
 
このシモン選手と好勝負をした日本の土佐礼子選手は、4着の渋井選手と比べると経験が豊富で、坂コース、夏マラソンの実績もあり見事に2着となった。ここで見逃せないのは、土佐、渋井選手が同じ企業のチームで一緒にトレーニングをしている、つまり競馬でいえば同厩舎の2頭出しだった点で、競馬でも経験不足を補うのに僚馬を出走させることは特に牝馬で効果が高いといわれている。
 
3着となったスベトラーナ・ザハロワ選手は、今年のロンドンマラソンでアレムやロルーペに先着しており、総合的にはシモン選手に次ぐ実績の持ち主であり順当な結果だったといえるだろう。逆に言えば、日本の土佐選手がこのザハロワ選手を抑えたのは、大健闘と見ることが出来るだろう。
 
これに対し、男子マラソンで初の2時間5分台ランナーということで注目を集めたハリド・ハヌーシ選手は典型的な「危ない本命」であった。この選手は、初マラソンの97年から2000年まで10月後半自国開催で、ペースメーカー付のシカゴマラソン以外に出場していない。つまり、海外での強敵相手の順位を争うレース、夏マラソン、坂コースの経験は全て欠けており、持ち時計が良いだけという、真っ先に消したい本命であった。
 
良いタイムで走ることと、順位を争う、つまり相手よりも先にゴールすることには、本質的に異なる能力が必要であり、真剣勝負で順位を争う世界選手権では、持ち時計が良いだけでは実績として大した意味を持たない。これは競馬予想でも陥りやすい点で、競馬は殆どのレース形態で他の馬より先にゴールする能力を争っているので、走破時計重視の予想では本質が見えないことが多い。タイムを云々するならば、他の馬に先着する能力を示す指標を用いる必要があるといえるだろう。

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること(べルリン編) [2001年10月01日(月)]
このシリーズは今回で5回目となるが、これまで当コーナーの1月17日・19日と8月20日・22日に掲載し、現在はそれぞれ「1月・8月/スポーツ・ギャンブルの記事」に収載しているので、未読の方はご参照頂ければと思う。

さて、1月17日分ではレース競技における記録(タイム)についての解説に関連し、シドニー五輪のレース後、小出監督が「高橋尚子は平坦コース、イーブンペースなら世界最高タイムなんて、いつでも出すことが出来る」と豪語していることを記したが、ベルリンマラソンでは見事な平均ペースで快走し、それが実証される形となった。

今回、レースを観戦した方は実感されたことと思うが、8月20日に書いた通り、男女混合賞金レースの都市マラソンの場合は順位と同時に記録が売り物となるので、ペースメーカー兼風よけとなる選手がガードランナーとして参戦し、30キロ辺りまで風圧を引き受けつつイーブンペースで引っ張りスター選手をサポートする。

従って、TV解説の増田明美さんも指摘していたが、こうしたレースと、女子だけで順位を争う公式レースとは全く次元の異なるものであり、記録(タイム)を同列に判断することは出来ない。シドニー五輪の前の時点で、テグラ・ロルーペ選手は高橋尚子選手よりも1分以上早い持ち時計があったが、それはこのベルリンで記録されたものなので、その差は額面どおりには受け取れないものであり、現実に高橋、シモンの前に完敗となった。

このシリーズの最初にも書いたが、これは競馬予想でも注意しなければならない点で、一般に良く用いられがちな走破持ち時計による実力評価、予想というのは実は余り意味がなく、持ち時計については常に記録された状況(偏差)と、ラップタイムにより価値を判断する必要があるといえる。

さて、高橋尚子選手はシドニー五輪は、初の「GT」挑戦であり、今回は同じく初の男女混合賞金レースの平坦都市マラソンであった。すなわち、経験が無いにもかかわらず、シドニーでは「駆け引きによる激しいペースの上げ下げの中を、生き残って勝ちきる」能力が、その時点で最も高いと言われていたシモン選手を破り、ベルリンでは世界最高記録を樹立したのである。

つまり、高橋尚子選手は、レーススポーツの定石に照らすと、今や女子マラソンでは圧倒的な存在である。故障がなければ、ロッテルダムマラソンなどの平坦コースで更に記録を伸ばし、パリの世界選手権、アテネ五輪と連勝の可能性もかなり高いといえるだろう。後は、現在99年東京国際女子マラソンの 山口衛里選手の記録が認定されている、女子限定マラソンでの記録を大幅更新して優勝という履歴が加われば、競馬でいえば「歴史的な名馬」という存在となる。今後の活躍を期待したい。
 

このページのトップへ↑

ギャンブル的プロ野球日本シリーズ [2002年09月05日(木)]
8月23日の記事で予告した通り、新賭式馬券の初期導入解説も一段落してきたので、ギャンブルの一般論的な記事も随時取り上げて行きたい。

尚、この系統の解説については、メジャーなスポーツの様相が「勝負事」という意味で様々な面から、ギャンブル或いは競馬予想に多くの示唆を与えてくれる、という視点で、主にマラソン、ラグビー、ボクシング等を通して昨年の前半に当コーナーで解説している。

ちなみに、8月31日の小倉2歳Sの結果については、ちょうど1年前の2001年8月20日に女子マラソン世界選手権を題材として解説した記事の内容そのままの結果であったといえるだろう。

さて、昨年の1月に当コーナーで馬券プロが必ず頭に入れておく「巡り合わせの不思議」を示す事例として、サクラキャンドルのエリザベス女王杯について解説したが、本日はサッカーW杯とプロ野球を題材として、そうした勝負事の機微を取上げてみたい。
(該当の記事は過去ログ 2001年 1月スポーツ&ギャンブルの記事)

  今年の5月にある所からサッカーW杯の決勝戦の組み合わせ予想を依頼され、どういう切り口で予測するかを考えていたところ、TVのスポーツニュースで、「ライオンズは西武になって以降、W杯の年は全て優勝している」という
巡り合わせが紹介されていた。

その当時すでに伊原新監督の西武ライオンズが、首位を快走する気配が漂いだしておりそうしたデータが取上げられたのであるが、「W杯との相関」という意味でW杯予想のヒントになりそうなので、その巡り合せについて少し詳しく調べて見た。

すると次のような巡り合の不思議にに気が付いたのである。尚、この一覧は後日ライオンズファンの方から転載の依頼を頂き快諾したので、既にどこかでご覧になった方がいらっしゃるかと思うが、(恐らく)私がオリジナルである。

−W杯とライオンズ優勝の巡り合せ−

1982年 W杯 西ドイツ準優勝
  西武ライオンズ日本一 (広岡監督就任1年目)
1986年 W杯 西ドイツ準優勝
  西武ライオンズ日本一 (森監督就任1年目)
             ↓
「ライオンズ」で日本一になった監督
  →三原・広岡・森=読売巨人軍出身/経験者
「ライオンズ」でリーグ優勝止まりだった監督
  →中西・東尾=ライオンズ生抜き
             ↓
以上の巡り合せが継続すると、今年の伊原監督は就任1年目でかつ読売巨人軍在籍経験者であるから次のような結果が考えられる。
             ↓
2002年 W杯 ドイツ準優勝? 
  西武ライオンズ日本一?(伊原監督就任1年目)

このような巡り合せに基づく推測により、サッカーW杯の決勝戦は、組み合わせを考えてドイツの2着付けで以下の連単3点予想にして、運良く的中することが出来たのである。まあこういうことがあるのもギャンブルの面白さの一端といえるだろう。
・フランス→ドイツ
・アルゼンチン→ドイツ
・ブラジル→ドイツ = 的中

ところで、上記の一覧は巨人ファンの皆様には誠に申し訳ない見解であるが、今年の日本シリーズで西武ライオンズが日本一になる可能性を示唆していると見ることも出来る。

事実、西武はその後、充実した試合内容で快進撃を続けパリーグ優勝は必至の情勢でこちらも嵌りつつあり、8月にはプロ野球タイ記録となる月間勝利数を上げた。前回その記録を樹立したのはその年日本一になっている1954年の中日ドラゴンズであり、これも日本一への補完となるデータ?と言えるかもしれない。

また、伊原監督の采配は、相手の癖等を徹底研究しての攻略、エンドランなど走塁戦術の多用、2番・7番重視の打線、ワンポイント起用による投手の一塁退避、等ライオンズの系譜では名将といわれた三原脩監督の直系である。

三原ライオンズの日本シリーズといえば、やはり水原茂監督率いる読売巨人軍との「宿命の対決」が有名であるから、原監督の巨人がセリーグを制して「伊原×原対決」になると、ギャンブル的にいえば「原」の文字が被ることから正しく「三原×水原」の再現・・・などと考えていたらこれも実現しそうである。

その「三原×水原」対決は、有名な1958年(=原監督の生れた年)の3連敗4連勝にて三原ライオンズの勝利に帰結している。こうした諸々の巡り合せを考えると、ギャンブル的な視点からは「西武ライオンズ日本一」への一本道を進んでいる感もあり、博打であればライオンズに張りたい流れであるが、読売巨人軍も戦力は充実しておりどうなるのか結果が楽しみなところである。

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−13 [2003年07月16日(水)] 
当コーナーでは、他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探る記事を何回か掲載しておりますので、主なものを加筆再編集の上復刻いたします。
 
尚、競技の本質として競馬に最も近いのは自転車のピスト競技スプリントですが、その点については付加価値の高い情報なのでweb公開はせずメール配信の中で解説いたします。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【女子マラソンが教えてくれること−1】
 
 メジャーなスポーツは、様々な意味で競馬予想に多くの示唆を与えてくれるが、陸上、水泳、スピードスケート、距離スキー、自転車などの競走競技のセオリーには、直接的に役立つ事柄も多い。また、逆にそれらの競技を競馬のセオリーで予測することも可能である。
今回はその競走競技中から陸上の女子マラソンについて取り上げてみたい。
 
2000年シドニー五輪での高橋尚子選手が金メダル獲得金メダルを獲得した際、レース後の小出監督のコメントには注目すべき点が幾つかあった。その一つを挙げると、当時小出氏は記録(タイム)について、「高橋尚子は平坦コース、イーブンペースなら世界最高タイムなんて、いつでも出すことが出来る」と豪語している。
 
その後高橋尚子選手は2001年のベルリンマラソンで小出監督の言の通り当時の世界最高記録で優勝している。(2002年も出場し2連覇)
 
小出監督の言は裏を返せば、陸上競技の中・長距離ではイーブンペースで流れると良いタイムが出るものの、それは選手の地力を一面的にしか示しておらず、強い選手とは、「レベルの高いレースで、駆け引きによる激しいペースの上げ下げの中を、生き残って勝ちきる選手のことである」、ことを意味している。
   
すなわち、この原則を競馬に当て嵌めるならば、一般に良く用いられる勝ちタイムだけでの実力評価、予想というのは一部の条件を除いては実は余り意味がないということである。実際馬券のプロは勝ちタイムによって馬を評価することはせず、ラップによりタイムの価値を判断することが通例である。小出氏の発言は正しくタイムに対するこうした考え方の必要性を裏書するものといえるだろう。
 
ところで、シドニーではレース前の時点で高橋尚子選手は競馬で言えば▲(3番手)評価であった。◎(1番手)評価は追い込み及ばず銀メダルに終わったルーマニアのシモン選手。彼女の敗因は、月経周期による体調不良と伝えられているが、類似したことは競馬の世界でも良くある。言うまでも無く、春先から初夏にかけての牝馬のフケ(発情期)であり、該当する時期の馬券作戦では常に注意が必要である。
 
また、○(2番手)評価はケニアのロルーペ選手だったが、この選手は「臨戦過程」が立て込んでいて、牝馬(女性)は特にレース間隔が重要、とのスポーツとしての競走(競馬)常識からは消しの感があった。ただ、高橋尚子選手も過去1年の出場回数は1回で問題ないものの、世界選手権が当日出場取り消しで、その結果名古屋女子マラソンから本番までの間隔が短く、順調さを欠く感は否めなかった。
 
しかも、世界選手権を取り消したため、競馬に例えればGVのアジア大会の経験しかない状態で、GTのオリンピックに出走することになった。これは、上級条件ではクラス経験が重要であり、いきなり2クラス上への挑戦は厳しい、というスポーツとしての競走(競馬)常識からは疑問も残るところであった。にもかかわらず金メダルが取れたということは、頭抜けて強いということである。
 
中央競馬の予想には「短期間の3連勝馬は強い」との格言があるが、これは中央競馬では勝つとクラスが上がるので、3連勝とは元いた条件の2つ上のクラスまで一気に勝ったということであり、成し遂げた馬は相当に強い、ということを意味している。つまり、国際大レース経験なしでオリンピックを勝った高橋尚子選手は相当に強く、予想通りその後も連勝を続けている。調整が順調に進めばアテネでも上位争いは必至であると考えられる。
 
ところで、この高橋選手は笠松競馬場に程近い岐阜市の出身であり、育った水、練習の環境ともに一時中央競馬での活躍が目立った笠松競馬出身の馬に相通ずるものがある。高橋選手と笠松所属馬の強さと相通ずるものが有るのかも知れないと考え、高橋選手とオグリキャップをオーバーラップさせることは競馬ファンにとってロマンのある話であろう。
 
ところで、上記に勝ちタイムだけでの実力評価、予想というのは一部の条件を除いては実は余り意味がない、と書いたが、その一部の条件、すなわち「他の馬に勝つ総合能力」≒「平均速度の優劣」という条件のレースでは勝ちタイムも重要な予想の要素となる。
それがどのような条件であるかは、高度なメール情報で再々解説している。

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−14 [2003年07月18日(金)] 
前回に続き、他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探る記事の中から女子マラソン編を加筆再編集の上復刻いたします。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
 シェアソフトZFLAGPに添付した「競馬の奥義」の「格言2」の中で具体的に解説したが、競走馬が全力を尽くして戦った場合、その筋肉、循環器、細胞レベルの快復には、それぞれに必要な日数がある。そしてその日数を元にどの程度の力を発揮することが可能であるか、という視点から出走馬の臨戦過程を評価することが競馬予想の一つの基本であり、牝馬の場合は特にこの基本が重要となる。
 
人間の女性の場合も同様で、マラソンのような耐久競技の場合、循環器、細胞レベルでの快復度合いが、力を発揮出来るか否かの目安となる。快復にに必要な具体的日数の詳細については、「競馬の奥義」或いは情報メールの中のみでの公開とさせていただくが、簡略した結論だけ述べておくと、女子マラソン選手の場合、力を出し切るためには少なくとも前回の勝負レースから概略224日は間隔を空けた方が良いといわれている。
 
さて、前回はシドニー五輪について述べたので、今度はアトランタ五輪について、そのレース間隔というポイントを踏まえて、競馬予想的視点からの解説を加えて見たい。アトランタ五輪の女子マラソン予想は比較的簡単であったといえる。その理由は2つあり、1つは、直前のオリンピックであるバロセロナとマラソンの開催条件が類似しており、かつ前回の1・2着選手、競馬風に言えば「格上選手が複数」出場していたことである。
 
開催条件の類似とはすなわち、夏季開催の高温レースでかつ坂の多いコース設定であったことである。競馬でも直線に坂のある、東京、中山、阪神、とその他の競馬場の実績は分けて考えなければならないが、マラソンでも特に勝敗重視で駆け引きの厳しいオリンピックではアップダウンの有無は大きなポイントである。また、競馬では同条件レースの連対経験馬が上位人気を占めていれば、馬券的に堅く収まる傾向が強いが、この点はマラソンでも同じである。
 
2つ目のポイントは、バロセロナの@・A着、ロシアのエゴロワ選手と日本の有森裕子選手が共に万全の状態で出走して来たことである。両選手ともに年齢的に下降期ではなかったし、前回の五輪出場権獲得レースからの間隔はエゴロワ選手12ヶ月、有森裕子選手11ヶ月と標準の224日以上で全く問題がなかった。予想としては、この2強を脅かす新勢力(上がり馬)がいるか否かを考えればよいレースであったといえるだろう。
 
その点について、バロセロナとの類似条件を基本に検討すると、有力な国際レースで勝利を収めかつ高温、アップダウンのレースで実績を残し、五輪出走権獲得レースからは概略224日は間隔の空いている選手が一人だけおり、エチオピアのロバ選手であった。
 
ロバ選手はアトランタ五輪の前年9月に行われたローママラソンの覇者で、そのレースで代表を確実にしている。そして、そのローママラソンは高温、アップダウンのある国際マラソンで、アトランタからは約10ヶ月前であるから、正にロバ選手こそが唯一新勢力(上がり馬)としてエゴロワ−有森ラインを崩す可能性を予見出来た選手なのである。
 
つまり、ロバ選手の快走は当時の実況アナウンサーが連呼したほどに意外な結果ではない。また、エゴロワ選手のA着と有森裕子選手のB着は予想通りの結果と言えるだろう。一方、アトランタ五輪では、その年の冬から春に好タイムで3勝していた、ドイツのピピヒ選手が注目を集めていた。しかし、224日というスパンで考えて4回目のレースでは走り過ぎであった。
 
また、ピピヒ選手の場合、勝ったレースも平坦コースのイーブンペースばかりなので、「コース適性」にも疑問が残り、予想通りに途中棄権という結果であった。世界選手権の優勝経験者である日本の浅利純子選手も期待されたが、五輪出走権獲得レースから180日程度の間隔の出走で脚部不安と相俟って少し厳しかったようである。
 
このアトランタでの有森裕子選手の健闘が教えてくれるものは、トップクラス(G1級)のレースでは、正しいスポーツ的な知識により、実績(格)に基づく骨太の予想を行えば、大きくは外れないということである。

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−15 [2003年07月24日(木)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、女子マラソン編を加筆再編集の上復刻する3回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【女子マラソンが教えてくれること−3】
 
1回目はシドニー五輪(高橋尚子選手)、2回目はアトランタ五輪(有森裕子選手)を実例として、陸上競技の女子マラソンのセオリーが示唆する競馬予想のポイントについて解説したが、その続編として2001年の世界陸上について取り上げてみたい。
 
賞金レースの都市マラソンの場合は順位と同時に記録が重要となるので、ペースメーカーとなる選手が参戦し、30キロ辺りまで風圧を引き受けつつイーブンペース引っ張りスター選手をサポートする。しかし、ペースメーカー使えない五輪、世界選手権といった真剣勝負で順位を争うレースになると、各選手がお互いの仕掛けを読みあいながらの展開となり、競馬の大レースと予想のポイントが似てくる。
 
つまり、順位を争うマラソンは、スローペースの展開の中でペースを上げ下げして、自分より先に相手を疲れさせ、脱落させようとする駆け引きが重要となるので、結果の予想をする場合に最も重視すべきポイントは、競馬のG1レースと同様に、強敵相手のレース実績の有無である。
 
但し、世界選手権には五輪ほどのステータスがなく、経験不足の選手でも素質で通じる傾向がある。欧米ではロード耐久レースは、ツールドフランスに代表される自転車競技が標準で、マラソンは自転車に比べスピード感に欠け、耐久レースとしては時間も短いので、日本ほどの人気競技ではない。また、マラソンは年に多数のレースを走ることが出来る競技ではない。
 
つまり、有力なスポンサーを獲得することは簡単ではなく数でも稼げないという意味でプロ的な活動が難しいので、日本など一部の国を除けば有力選手は勝てば以降のプラスが大きい五輪以外は条件の良い都市マラソンレースを選択する傾向が強く、その結果世界選手権はややグレードが下がるのである。
 
2001年も地力bPといわれたテグラ・ロルーペ、五輪2着のジョイス・チェプチュンバ、その他キャサリン・デレバ、ローナ・キプラガトといった有力選手が賞金マラソンを目指して世界選手権を回避したため、レースの水準がかなり下がることが予想された。
 
これに対し日本では、マラソン、駅伝がTV放映で高視聴率を獲得する人気競技であり、またプロに加えて企業アマという形態を持つので毎回世界選手権での日本選手の勝負気配は高く、レベルが下がる分成績も五輪より一段良い。
 
そうした読みから、2001年の世界選手権女子マラソンに参加した日本勢には、十分なレース経験を持つ選手はいなかったものの、勝負度合いから上位を争うと予想された。
 
日本選手の中では、まずその年の大阪女子マラソンを初マラソンながら好時計で勝った渋井陽子選手が期待されたが、素質が高いとはいえ、冬場の平坦マラソン楽勝1回のみの経験ではさすがに厳しいものがあり4着に止まった。経験不足ながら素質を買われて1番人気となった馬が4着に敗退するのは牝馬のG1・桜花賞の定番であるが、よく似たイメージの結果であるといえるだろう。(続く)

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−16 [2003年07月28日(月)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、女子マラソン編を加筆再編集の上復刻する4回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【女子マラソンが教えてくれること−4】
 
2001年の世界陸上で優勝候補筆頭と目されていたのは、有力選手の参加が少ない中で十分な実績が唯一備わっていたリディア・シモン選手である。
 
世界選手権で2回連続銅メダル、シドニー五輪では銀メダルと、強敵相手の真剣勝負度合いの高い駆け引き重視レースの戦績は頭一つ抜けており、夏の高温マラソン、坂コースの経験も豊富で、競馬に例えれば必要かつ十分な実績を持つ信頼出来る本命であったといえるだろう。
 
また、シモン選手は入着続きでそろそろ世界タイトルが欲しいところという見方が出来、アテネ五輪まで3年の間隔のあるここは勝負気配も十分であったが、レースでは同国の選手に前半アタック(逃げ仕掛け)させるロードレースの定石に沿った展開に持ち込み、予想通り完勝に成功した。ちなみに、競馬でも差しタイプが勝負馬のときは、先行タイプの援護馬にペースを作らせることは常套手段である。
 
このシモン選手と好勝負をした日本の土佐礼子選手は、4着の渋井選手と比べるとレース経験が豊富で、坂コース、夏マラソンの実績もあり見事に2着となった。ここで見逃せないのは、土佐、渋井選手が同じ企業のチームで一緒にトレーニングをしている、つまり競馬でいえば同厩舎の2頭出しだった点で、競馬でも経験不足を補うのに僚馬を出走させることは特に牝馬には効果が高いといわれている。
 
3着となったスベトラーナ・ザハロワ選手は、今年のロンドンマラソンでアレムやロルーペに先着しており、総合的にはシモン選手に次ぐ実績の持ち主であり順当な結果だったといえるだろう。逆に言えば、日本の土佐選手がこのザハロワ選手を抑えたのは、大健闘と見ることが出来る。
 
これに対し、男子マラソンで初の2時間5分台ランナーということで注目を集めたハリド・ハヌーシ選手は典型的な「危ない本命」であった。この選手は、初マラソンの1997年から2000年まで10月後半に自国で開催され、ペースメーカーが付けられるシカゴマラソン以外に出場していなかった。つまり、海外での強敵を相手に順位を争うレース、夏マラソン、坂コースの経験は全て欠けており、「持ち時計が良いだけ」という、競走競技の定石からは消したい本命であった。
 
良いタイムで走ることと、順位を争う、つまり相手よりも先にゴールすることには、本質的に異なる能力が必要であり、真剣勝負で順位を争う世界選手権では、持ち時計が良いだけでは実績として大した意味を持たない。これは競馬予想でも陥りやすい点で、競馬は多くのレース形態で他の馬より先にゴールする能力を争っているので、走破時計重視の予想では本質が見えないことが多い。
 
通常はタイム系統のデータを云々するならば、他の馬に先着する能力を示す指標に加工して用いる必要があるといえるだろう。但し、競馬の場合は「他の馬に勝つ総合能力」≒「平均速度の優劣」である番組カテゴリーも存在し、そのようなレースにおいては持ちタイムを基準とした指標が予想の標準となり得る。

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−17 [2003年07月30日(水)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、女子マラソン編を加筆再編集の上復刻する5回目です。尚、来月パリで行われる第9回世界陸上の女子マラソンには日本から松岡理恵、野口みずき、大南敬美、千葉真子、坂本直子の五選手の出場が予定されていますが、展望記事などはtoto&競馬情報メールに記載します。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【女子マラソンが教えてくれること−5】
 
馬券予想理論(復刻)−13 ではレース競技における記録(タイム)についての解説に関連して、高橋尚子選手が金メダルを取ったシドニー五輪の女子マラソンのレース後、小出監督が「平坦コース、イーブンペースなら世界最高タイムなんて、いつでも出すことが出来る」と豪語し、翌年のベルリンマラソンで高橋尚子選手が見事な平均ペースで快走してその発言を実証したことを紹介した。
 
この2001年のベルリンマラソンをTV観戦した方は実感されたことと思うが、馬券予想理論(復刻)−15に書いた通り、男女混合賞金レースの都市マラソンの場合は順位と同時に記録が売り物となるので、ペースメーカー兼風よけとなる選手がガードランナーとして参戦し、30キロ辺りまで風圧を引き受けつつイーブンペースで引っ張りスター選手をサポートしていた。
 
従って当時TVの解説をした増田明美さんも指摘していたが、こうしたレースと女子だけで順位を争う公式レースとは全く次元の異なるものであり、記録(タイム)を同列に判断することは出来ない。例えば、シドニー五輪の前の時点で、テグラ・ロルーペ選手は高橋尚子選手よりも1分以上早い持ち時計があったが、それはこのベルリンで記録されたものであり額面どおりには受け取れず、現実に高橋、シモンの前に完敗となった。
 
このシリーズの最初にも書いたが、これは競馬予想でも注意しなければならない点で、一般に良く用いられがちな走破持ち時計による実力評価、予想というのは実りが少ない場合が多く、一部のカテゴリーの競馬番組を除いては持ち時計については常に記録された状況と、ラップタイムにより価値を判断する必要があるといえる。
 
さて、高橋尚子選手はシドニー五輪は、初の「G1」挑戦であり、2001年のベルリンマラソンは同じく初の男女混合賞金レースの平坦都市マラソンであった。すなわち、経験が無いにもかかわらず、シドニーでは「駆け引きによる激しいペースの上げ下げの中を、生き残って勝ちきる」能力が、その時点で最も高いと言われていたシモン選手を破り、ベルリンでは当時の世界最高記録を樹立したのである。
 
つまり、高橋尚子選手は、この時点でレーススポーツの定石に照らすと女子マラソンでは圧倒的な存在であったわけだが、2年前に掲載した元の原稿では、高橋尚子選手の評価について「後は、現在99年東京国際女子マラソンの山口衛里選手の記録が認定されている、女子限定マラソンでの記録を大幅更新して優勝という履歴が加われば競馬でいえば《歴史的な名馬》という存在となる」と結んでいる。
 
高橋尚子選手は本年11月に行われるその東京国際女子マラソンに出場を予定しており、この結びの部分がいよいよ現実となるかどうかというところであるが、このレースはアテネ五輪の予選を兼ねており、上記の山口衛里選手も出場を予定しているので内容、結果が大変注目される。
 

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−18 [2003年08月05日(火)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、女子マラソン編に続きプロボクシング編を加筆再編集の上復刻致します。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【プロボクシングの教えてくれること−1】
 
今回は「格」というキーワードをテーマに、プロボクシングを取り上げてみたい。ちなみに、当コーナーでは様々なスポーツを話題としているが、私自身はかつてプロボクサーのライセンスを取得していたことがあり、この分野がいわば専門である。
 
さて、ボクシングの本場である欧米では、次の5項目に当てはまる選手については超一流の世界チャンピオンとして評価する。すなわち、これはボクシング界における「格」を判断する基準である。
 
1.WBA・WBC認定ライト級・ウェルター級・ミドル級の世界王者。
2.連続5回以上の防衛。
3.傑出した生涯全成績。
4.敵地での防衛経験。
5.一定水準以上のKO率。
 
まず、条件1であるが、例えばライト級とウェルター級の間に後に加えられたスーパーライト級のような、階級を示す語の前に冠詞が付くクラスは、様々な理由により強い選手は避ける傾向があるのでスポーツ的には1枚格が下さがる。新設団体のタイトルも同様である。
 
また、ヘビー級は別格総本山であるが、一般には重いクラス、軽いクラスは民族的な体格差により世界的には層が薄くなるので、多くの国の有力選手が参入する老舗団体の中量級が最もハイレベルであり、価値があると評価されるわけだ。
 
競馬においても、同じグレード、賞金条件のレースだからといって価値は一様ではない。その辺りを勘案した、本当の「格」に対する認識が曖昧であるために、大レースで無駄な馬券を買ってしまうケースが少なくないのだが、その具体例は次回解説したいと思う。
 
条件2と3はスポーツにおける「格」評価の大原則であり、競馬における戦績評価においても、基準とすべき考え方である。
 
条件4は、ボクシングが判定スポーツであるが故に克服すると評価がアップする点であり、また、プロである以上集客力も重要な評価基準の一つであるから、条件5も加わってくるわけだ。
 
残念ながら、日本のボクサーには、これらの条件をクリアし、超一流世界王者として評価が定着している選手はいない。近年活躍した選手の中では畑山隆則さんが最激戦の世界ライト級(WBA)のチャンピオンで、全成績が29戦24勝(19KO)2敗3分で負けと引き分けは全て世界戦と、1・3・5の条件をクリアしていた。
 
もしもタイトルを失陥したジュリアン・ロルシー戦に勝って、さらに敵地も含めてあと数回防衛を果たしていれば超一流世界王者として認知される可能性があった選手だったといえるだろう。
 
過去の日本人世界王者について縦覧すると、2・5の条件で傑出している具志堅用高さんは、当時新設のジュニアフライ級の王者であり、連続防衛記録は素晴らしいが世界的にはそれほど有名ではない。軽いクラスではむしろ、白井義男さん、大場政夫さん或いはファイティング原田さんといった冠詞の付かないクラスで防衛を重ね、エキサイティングな試合をした選手が知られた存在である。
 
一方、重い方のクラスで実績を残した選手といえば通算6度の防衛を果たしている輪島功一さんがいるが、冠詞の付くジュニアミドル級なので知名度、評価はもう一つである。むしろ防衛はしていないものの、豪打で主要3階級に含まれる世界ミドル級(WBA)の王者となった、最近ではTVのバラエティー番組でおなじみの竹原慎二さんが、重量級の日本人という珍しさや負けたウィリアム・ジョッピーが名王者となったことも手伝って本場ではかなり知られた選手である。
 
それでは、日本人世界王者で上記の5条件に最も近い選手は誰なのか?といえば、最近のタレントとしてのイメージからは想像出来ないが、世界ライト級(WBC)で5回の防衛を果たしているガッツ石松さんである。石松さんは実はかなり凄い選手なのだ。(続く) 

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−19 [2003年08月07日(木)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、プロボクシング編を加筆再編集の上復刻する2回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【プロボクシングの教えてくれること−2】
 
今や天然系面白タレントとして定着しているガッツ石松さんだが、ボクサー時代の実績は中々素晴らしい。まず、ガッツさんが世界的に評価されたのは、中量級の歴代世界王者の中でbPと評価されることも多い、石の拳ことロベルト・デュランに挑戦して善戦したことである。
 
この試合、TV番組などで「デュラン?あいつだけは強かったねー、壊される前あきらめたよ。」と石松さんご本人が懐述しているが、全盛期のデュラン相手に形になった試合の一つであり、池袋での大立ち回りというような経歴と相俟って、石松さんはこの試合を契機として破天荒な強打者との評価を得た。
 
その後、ルドルフォ・ゴンザレスを「幻の右」で8RKOして世界ライト級王座に就き、強敵を含め5度防衛を成し遂げ一流王者としての実績を積んだのである。また、王座を陥落した試合も敵地プエルトリコで名ボクサーに数えられるエステバン・デ・ヘヘスに判定で敗れたものであり、評価が下がるような内容ではなかった。但し、石松さんの場合、生涯全成績が51戦36勝(17KO)14敗1分と負けが多いので、世界的な名チャンピオンとしては格付けされていないが、個性派王者として本場のマニアには知られた存在である。
 
さて、競馬に話を戻し、格付け、いわゆる「格」について取り上げてみたい。競馬においても、前回紹介したボクシングのような「格」を判断する基準が存在するが、その整理されたセオリーについては情報メールなどで解説することとして、ここではその概略を実例で説明したいと思う。
 
競馬において「格」を予想の根本に反映すべきなのは、「定量・G1レース」である。具体的には、どれだけ一流馬の条件を備えているかで「格」を判断して取捨選択に生かせばよい。また、「定量・G1レース」以外の競馬番組カテゴリーについては、勝敗が決する要因が馬の基本能力以外の部分にあることが多く、「格」を予想の基本とすることは殆ど意味がない。
 
97年04月13日 皐月賞   G1 1番人気 4着 松永幹夫 57
97年06月01日 ダービー  G1 1番人気 3着 松永幹夫 57
 
これは、メジロブライトの皐月賞、ダービーの成績である。どちらも1番人気に支持されたが連対すら出来なかった。1度はアクシデントで連対を逃すことがあっても、本当に地力あれば2連敗する確率は低く、つまり、この時点でメジロブライトはクラッシックディスタンスのガチンコ勝負では世代のトップクラスの「格付け」ではない、と考えるべきである。
しかし、この馬にはその後次の様な実績もある。
 
97年11月29日 ステイヤーズS G2 1番人気 1着 河内洋 芝3600
98年01月25日 アメリカJC   G2 1番人気 1着 河内洋 芝2200
98年03月22日 阪神大賞典   G2 1番人気 1着 河内洋 芝3000
 
メジロブライトはこのように3000Mを越えるレース2つを含むG2を3連勝している。つまり、長距離ならばG2では1枚上、すなわちG1級の「格」を持った馬と見るべきであろう。従って、その後のG1レースについては、「格」という面からはこの馬に対して、3200Mの天皇賞・春は買い、それ以外の定量・G1は相手が揃っていれば基本的には見送り、という結論となる。
 
98年05月03日 天皇賞(春)G1 2番人気 1着 河内洋
99年05月02日 天皇賞(春)G1 3番人気 2着 河内洋
 
98年07月12日 宝塚記念  G1 2番人気 11着 河内洋
98年11月01日 天皇賞(秋)G1 2番人気 5着 河内洋
99年10月31日 天皇賞(秋)G1 3番人気 11着 河内洋
 
上記の結論を踏まえておけば、天皇賞・春では馬券に絡め、それ以外の3レースについては、新聞の印に惑わされることなく消して無駄な馬券を買わずに済む。これが「格」に対するプロ的な視点、技である。尚、メジロブライトは有馬記念でも連対しているが、当時は「馬齢戦」であったので別の考え方で予想すべきレースだったといえる

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−20 [2003年08月11日(月)] 
他の競技を通して競馬(馬券)の本質を探るという趣旨記事の中から、今回はサッカー編を取り上げます。このHPのZ−プロジェクトのコーナーの下段に画像をアップしてある、拙著「かくて馬券は投資となる」(ぶんか社 1995年刊)からの加筆修正復刻となります。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【サッカー好きのキミ、競馬はこう勝て】
 
去年横浜でW杯の決勝が行われたが、そこへ進出する可能性のあったレベルの国のサッカーの質を「馬券上級者」の技量に置き換えて見ると以下のようなイメージである。
 
・マラドーナ全盛の86年アルゼンチンのように傑出した選手を軸としたチームは、独自の優れた馬券作戦を持つ勝負師。
 
・98年大会優勝、要所に好選手を万遍なく配しトータルで高レベルのサッカーを展開するフランスのようなチームは、インサイダー情報に強く裏表を知り尽くした馬券師。
 
・高い個人技の選手を揃え技術で相手を翻弄していく02年大会優勝のブラジルは、さまざまな戦術を状況に合わせて使いこなす馬券プロ。
 
・相手にスペースを与えない厳しいプレスから速攻を仕掛ける、守備をベースとした戦術のイタリア型は、予想よりも買い方に長けた馬券生活者。
 
このコラムをお読みいただいている皆さんの中には、こうした馬券上級者の方もおられることと思うが、数としては初級から中級レベルの方が多いのではないかと推察される。馬券の初・中級者はプロ級の馬券上級者に対しては、いわば格下の存在である。
サッカーで格下のとるべき戦術は・・・。
 
そう、固く守ってカウンター狙いだ。馬券の世界で固く守るとは主観に頼って多額の馬券、多くのレースを買わないことであり、カウンター狙いとは数が少なくとも単純で確率の高い独自の予想法を身につけることである。対象は月に数レースというレベルでも良いから、ともかく最初は手を広げず自分なりに一つの予想法をマスターする、サッカーでいえば守備を固めトップに好選手を配置することが勝利への道である。
 
やがて経験を積んで馬券の技量がアップすれば、上記したような高度でかつ自分に合った馬券戦術に切り替えてW杯クラスを目指せば良い。最初に勝利を目指すところから出発しないと、良いサッカーするんだけど勝てない、すなわち予想はいい線なんだが馬券に結びつかない状況になって、最終レース1着−3着でオケラという94年W杯予選「日本代表ドーハの悲劇」を何度も体験することになる。
 
サッカーには「得点感覚」という表現がある。これと競馬の「馬券で勝つ感覚」は非常によく似ている。
 
最も平易な馬券勝利法をサッカーの「得点感覚」に例えると、「極端にポジティプな思考によるポジションニングで点を取る」方向性である。20年以上のサッカーファンならご存知の82年W杯のヒーロー、イタリアの点取り屋ロッシのイメージだ。
 
90分の試合中、とにかく「次にこうなれば点が取れる」という、ある種都合の良い予測に基づきポジションを取りつづける。もちろん、ディフェンスとの兼ね合いがあるからその動きの大半は無駄になり、試合の殆どの時間で「消えて」いることになるが、予想が当った決定機にシュートの技術が伴っていれば得点出来るわけだ。
 
その決定機を数多く嗅ぎ取ることが出来る資質が「得点感覚の良さ」ある。馬券で勝つためにも同様で、「どこかで必ず当る」と信じるに足る戦術を創案しそれを徹底することが勝利への基本であり、その当る瞬間を見極める勘、技術が馬券における「得点感覚」であり、それを磨くことを常に心がけなければならない。その都度の結果で方針を転換していては勝利は覚束ないことは言うまでも無い。
 
ところで、Jリーグ発足後かなりの専門的なサッカー馬名の馬が登場しているが、出馬表のパフォーマンスである「暗合」にもサッカーが取り入れらている。特にコアなサッカーファンに涙ものだったのは、欧州代表のプラティニの隣に日本の公営競馬代表ハシルショウグンがしっかりと配置された93年のジャパンカップである。
 
11番人気のプラティニは直線一気の差し足を見せたものの惜しくも4着、翌年のW杯出場権を逃すことになる、現役時代に将軍と称されたプラティニ監督率いる仏代表の行く末と見事に符合していた。

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−21 [2003年08月13日(水)] 
他の競技を通して競馬(馬券)の本質を探るという趣旨記事の中から、今回はラグビー編を加筆修正の上復刻します。「予想の本質」という視点からの解説です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【ラグビー−報道が教えてくれること−1】
 
2001年お正月に行われた全国大学ラグビー選手権では、関東学院大学が優勝した。当時は高校日本代表経験者や花園全国大会活躍選手が揃う早・慶・明や同志社といった伝統校のメンバーに比べ、高校時代に実績の無い選手が多かったにも拘わらず、4年連続で決勝に進出しそのうち3回優勝という実績は、大変素晴らしいものであるといえるだろう。
 
現在は関東学院も実績のある選手の進学が多くなっており、一昨年、昨年も優勝、準優勝と実績を伸ばしているが、今回は2001年時点の関東学院の戦績を中心に、大学ラグビー報道から競馬、或いは予想に関し得られる教訓について解説する。
 
大学ラグビーのトップクラスのリーグは、早・慶・明・帝京を中心とする関東対抗戦グループ、関東学院・法政・大東・東海・中央などの関東リーグ戦グループ、同志社・京産・近大・立命などの関西リーグ、の3つに分かれている。関東リーグ戦グループの優勝校であった関東学院大学は、この年の全国大学ラグビー選手権のトーナメント1回戦で関東対抗戦グループ5位の筑波大と対戦した。
 
この試合、最終スコアは地力が出て大差がついたが、前半は拮抗した試合になった。その為ほとんどのマスコミでは、実績がかなり下の相手に前半互角ということで、「優勝を狙う関東学院、前半苦戦」或いは、「前半もたつく」といったニュアンスの見出しとなった。しかし、これは硬直した思い込み、取材不足、手抜きによる、誤った理解なのである。
 
それは、関東リーグ戦グループの試合結果を少し詳しく見ればすぐに分かる。リーグ戦は8チームで行われているが、関東学院は最下位となった流通経済大学戦では、最終的には56点差で勝ったものの、前半の半ば過ぎまではリードされていた。6位の中央大学戦も最終スコアは54点差だが、前半は1トライに抑えられる接戦であった。
 
すなわち、関東学院は格下相手の場合、相手が必死で食い下がってくる前半はその勢いをいなして消耗を避け、格下チームの気力、体力に陰りが見える後半に一気に差をつけるという戦略で戦っていることがスコアデータから見てとれるのである。従って、筑波大学戦も「関東学院、ゲームプランに沿って快勝」、が妥当な評価であるわけだ。
 
それを裏付けるのは、力量差の少ない相手と対戦したときの試合経過である。リーグ戦グループの試合で2・3位の法政・大東大学と対戦したときは、格下戦とは全く逆で後半は相手チームの方がスコアが上であった。つまり、前半からフル回転で攻めて点差を付け、後半は反撃を凌いで逃げ切るという戦略に変わるのである。
 
大学選手権でも同様で、筑波戦の次の早稲田大学戦では、開始5分で2トライを挙げ一気に優位にたっている。こうした、臨機応変なゲームプランは、勝負に携わるものとして見習たい点であるといえるが、筑波大戦を「前半苦戦」として片付けてしまうような、表面的なものの見方では本質を見据えることは出来ないのである。
 
その短絡な見方の結果として、早稲田大学戦に続く準決勝の同志社大学戦では、多くのマスコミがトーナメントで快勝を続けていた「同志社有利」と報道したが、その予想は外れ戦略的な戦いを見せていた関東学院の快勝であった。キャリアのある競馬ファンの方なら実感されていることと思うが、競馬の予想記事にもこうした、硬直した思い込み、勉強不足、手抜きを感じさせる建前的なものは多い。
 
もちろん、競馬の予想報道はアマチュアスポーツの結果予測とは異なり、専門紙などは競馬サークル内の運命共同体である、競馬予想は金に絡む、ことなどから、ある種の制約があることも確かではあるが、それ以前の問題としてものの考え方や前提となる知識が不足し、単に短絡な主観が述べられているだけで、客観的な予想とはいえないようなケースも少なくはない。(続く)

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−22 [2003年08月15日(金)] 
他の競技を通して競馬(馬券)の本質を探るという趣旨記事の中から、今回はラグビー編を加筆修正の上復刻する2回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【ラグビー報道が教えてくれること−2】
 
2001年全国大学ラグビー選手権の準決勝、関東学院大vs同志社大学戦では、多くのマスコミが「同志社有利」と報道していた。
 
しかし、競馬の予想的な視点からすれば、同志社大学は「不安の大きい人気馬」であったといえる。確かに、選手の資質や準決勝に至る戦績は抜群であり、主観的な期待を抱かせるに十分であったが、一歩下がってみれば準決勝で有利とするほどの実績は無かったのである。
 
例えば、関西リーグで同志社大学が圧倒した他のチームが、大学選手権では全て1回戦で負けていることから、同志社大学には接戦経験の不足に対する不安があった。その一方、関東学院の属する関東リーグ戦グループは、結果的に決勝へ進んだ法政大学などの上位は勿論、下位チームのレベルが最も高いリーグであり、関東学院は厳しい局面の経験では同志社よりも遥かに恵まれていた。
 
厳しく競った実戦経験により選手、チームが成長するのはスポーツにおける原則である。つまり、同志社大学は競馬で言えば、弱敵相手に素質で圧勝を続けて来た馬が、初めてGレースで拮抗した力関係の経験豊富なメンバーと対戦するようなケースであったといえるだろう。
競馬では2歳・3歳の馬齢戦でこうしたケースが良くあるが、経験が不足している馬は欠点を露呈して凡走する危険が大きく、人気になっていれば見送りがセオリーである。逆に言えば、「馬齢戦」というカテゴリーは「実績がアテにならない可能性がある」ことを意味している斤量区分であるわけだ。
 
また、ここまでの試合運びを見ても、素質に任せて成り行きで押し切ってきた同志社よりも、前回解説したように、ゲームプランに沿って戦っている関東学院大学に一日の長がある感は否めないところであった。
 
例えば、同志社大学は1回戦で関東リーグ5位の専修大学と対戦したときに、関東学院とは対照的に前半大差、後半互角という試合運びをしており勝負が付いた後緩めたという、チームのキャリアアップという意味ではあまり足しにならない印象であった。
 
更に、この両校は準々決勝では、関東対抗戦グループで接戦だった早稲田、明治とそれぞれ対戦して勝ったが、その内容から同志社大学有利と判断出来るほどの地力の大差は感じられなかった。
 
これら諸々を勘案すると、もしイギリス式にブックメーカーが存在していたら、拮抗した試合では素質よりも経験、戦略がモノを言うという視点からそうした点で上回る人気薄の関東学院に賭ける一手であるが、案の定ゲームは関東学院の完勝になった。
 
ゲーム後に多くのマスコミが、「接点(相手と接触した場面)のプレーと、ゲーム運びに思いのほか差があった」と評したが、客観的に見ればそんなことは試合前から分かっていたことである。競馬の予想記事も、本質的にこのラグビーの報道と大差ないものが良くあり、レースが終わってからの結果論にウンザリさせられることがしばしばである。(続く)

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−23 [2003年08月19日(火)] 
他の競技を通して競馬(馬券)の本質を探るという趣旨記事の中から、今回はラグビー編を加筆修正の上復刻する3回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【ラグビー報道が教えてくれること−3】
 
2001年全国大学ラグビー選手権準決勝のもう一試合、慶応大学vs法政大学は、ほぼ全てのマスコミの予測記事が「慶応大学圧倒的有利」であった。しかし、これも予想の原則に沿って考えるならば甚だ主観的な判断であり、慶応大学に絶対的に有利な予測材料が揃っていたわけではない。
 
慶応大学を圧倒的有利とした記事は、概略次の様な点を根拠としていた。
・前年度の全国大学ラグビー選手権優勝校で、主力選手は卒業していない。
・今年度対抗戦グループで危なげなく優勝している。
・選手の質が高く、チーム戦術も明確で試合運びが安定している。
・対する法政大はリーグ戦グループで関東学院大に敗れ2位である。
 
しかし、これらの点は予測の根拠としては客観性を欠くものであるといえる。まず、前年度優勝校でかつ主力選手が残っていることは、確かに有力視すべき材料である。しかし、スポーツの予測として考える場合、慶応大学の決勝進出は近年では前年だけなので、「実績が1回」という点から過大な評価は出来ない。1回のみの実績は「偶然の幸運ではない」という保障が無いからだ。
 
この、「予想に際しては複数回の実証があるもののみを実績と考える」というセオリーは、競馬予想でも常に念頭に置かなければならないものであるといえる。ちなみに、前回例示した関東学院大学の場合、「3年連続決勝進出」という複数回の実績を背景としている点も評価出来たわけだ。
 
また、対抗戦グループにおける「危なげない」試合の連続は、前回述べた同志社大と同様に厳しい局面に対する経験不足の不安を感じさせた。
 
現在行われている全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で、選抜大会の優勝校であり夏も有力視されていた広島の広陵高校が較的な楽な相手と見られた2回戦で敗れたが、これも県大会で競った試合がなく、思わぬ接戦となり自滅した形であった。
 
逆に、法政大学は関東学院大学戦はもちろんのこと、リーグ戦グループの最終戦で大学選手権出場権獲得を目指す6位の中央大学の善戦に苦しめられるなど、チームの成長に繋がる接戦の経験は十分であった。(続く)

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−24 [2003年08月21日(木)] 
他の競技を通して競馬(馬券)の本質を探るという趣旨記事の中から、今回はラグビー編を加筆修正の上復刻する4回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【ラグビー報道が教えてくれること−4】
 
選手の質という点から見ても、慶応大学も高いが実は法政大学も高校時代からトップレベルだった選手が揃うチームであり、また、慶応のチーム戦術が明確であるということは、徹底して研究され、対策を講じられる危険と裏腹である。
 
つまり、前回指摘した慶応大学有利の根拠は、他のデータにより絶対的な戦力差が証明されれば予想の根拠となり得るものであるが、これを理由として有利という結論が導かれる種類のものではないといえる。この辺りは競馬の予想においても誤りがちな点である。
 
それでは、客観的な結果数字で慶応大と法政大の戦力を検証したらどうであるか。
公式戦における、共通の相手との対戦スコアは次の通りであった。
 
・慶応大35−14帝京大/慶応大78−31大東大
・法政大35−29帝京大/法政大64− 7大東大
 
対戦時期や状況が異なるので、具体的な点数比較はともかくとしても、全体イメージとしては大きな差はなく、慶応の優位を示すものとは言えない。
 
また、この両チームは前年の大学選手権の1回戦で、対抗戦1位とリーグ戦5位として対戦し、33−7のスコアで慶応が勝っている。しかし、内容的には接戦であり、前半終了近くまで0−0で進み法政大学が先制点を取っている。
 
更に、その試合と今回を比べると、主力選手の出場、欠場の差し引きでメンバー的には差が詰まっている印象があり、法政の順位も前年のリーグ戦5位から2位へと上昇している。
 
これらの事実を勘案すると、前年優勝の経験から慶応大学有利と見るべきではあるが、慶応側の厳しい局面に対する経験不足を考える時、法政大学との差は小さいと予測するのが妥当な線であろう。
 
そして、結果として法政大学が勝ったわけだが、慶応サイドから見た場合最大の敗因は、攻撃戦術が余りに硬直していて法政の対応策を突破できなかったことにある。柔軟なゲームプランを準備していれば、接戦でも慶応大学が勝てた試合と思えたが、決勝を見据えてやや脇が甘かったところに、上記して来たような事由が重なり法政大学のペースに終始する試合となった。
 
競馬番組には、「同じ方法では予想を的中し続けることが出来ない」ような工夫がなされている。従って、慶応大学のように同じ戦術で攻めつづける、つまり全レース一律に同じような基準、資金で馬券を買って、尚且つトータルで勝つことはプロでも至難のワザである。
 
同じような基準、資金で買うならば、的中出来る確率が高いレースを選定する手法を採用する、又は、少点数高配当的中に的を絞りある程度外れてもトータルで勝つ、といった工夫が必要になってくる。
 
ギャンブルでは自らのフォームを確立し、それを徹底させることは最重要課題であるが、そのフォームには予め臨機応変の柔軟性を持たせておく必要があるわけだ。この点は別の機会に詳しく解説したいと思う。

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること−6 [2003年09月08日(月)] 
馬券予想理論(復刻)−13〜17の続編となります。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【2003年 世界選手権】
 
馬券予想理論(復刻)−15でも述べた通り、五輪や世界選手権のような順位を争うマラソンは、スローペースの展開の中でペースを上げ下げして、自分より先に相手を疲れさせ脱落させようとする駆け引きが重要となるので、結果の予想をする場合に最も重視すべきポイントは、競馬のG1レースと同様に強敵相手のレース経験、実績の有無である。
 
但し、世界選手権には五輪ほどのステータスがなく、経験不足の選手でも素質で通じる傾向がある。今回も圧倒的な記録を持つポーラ・ラドクリフ選手、シドニー五輪1着の高橋尚子選手、前回世界選手権1着のリディア・シモン選手が出場せず、いわば準オープンクラスのメンバー構成であった。
 
従って、参加した日本勢には経験、実績ともに十分という選手はいなかったものの、最先着でメダルを獲得すればアテネ五輪代表に内定というモチベーションが加わっていたこともあり、勝負度合いから今回も上位を争うと予想された。
 
さて、今回のパリのマラソンコースは小刻みなアップダウンと石畳の悪路とにより比較的時計がかかるコースであり、高温になると耐久型のレースになる傾向があるが、反面長く厳しい坂はないので気温が低くイーブンペースで流れると早い時計の決着になる可能性もあり、競馬風にいえば気候と展開が結果に大きく関わるという意味で予想が難しい面があった。
 
toto&競馬情報メールに掲載した予想記事ではその辺りを勘案し、ある程度気温が高くなりラスト3〜5キロの粘りあいになった時には、駆け引き、暑さ、悪路、臨戦過程に不安が少ないスベトラーナ・ザハロワ、国際経験、悪路、夏場実績がある千葉真子、逆に速い流れになったときには、持ち時計が頭一つ抜けているキャサリン・ヌデレバ、マラソン2戦2勝で低温レースでの持ち時計がある野口みずき、この4選手を優勝候補として取り上げた。
 
結果はご存知の方も多いことと思うが、気温が上がらない中で前半はイーブンペースのスロー、残り10キロからが極端に早いという駆け引きよりもスピードに優れるタイプの選手に有利なに流れとなり、キャサリン・ヌデレバ選手が競馬でいえば本命馬が3コーナーからまくって安全勝ちを目指すようなレース運びで完勝した。
 
競馬でも能力判定にラップタイムの分析は欠かせないが、キャサリン・ヌデレバ選手は35キロから40キロの間が15分58秒という飛びぬけたスプリットタイプであり、スムーズにレースを運べれば抜群に強い選手であることが証明されたレースであったといえるだろう。
 
2着に健闘してアテネ五輪代表内定を獲得した野口みずき選手は、集団の中で厳しいマークにはあったものの、ペースの上げ下げや高温といった未経験の部分が余り問われずに特色であるスピードが生きる展開となって力を出し切ったレースであった。逆にある程度溜めて10000Mで培った末脚で勝負する千葉真子選手にとっては、上がりが早すぎる展開となり勝負どころで置かれてしまったが堅実な差しで3着を確保した。(次回へ続く)

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること−7 [2003年09月10日(水)] 
前回の続きになります。尚、toto&競馬情報メールに掲載した予想は、競馬の定量G1のセオリー通りに格重視を基本線にしたことと前日の男子マラソンの結果から国別の勝負気配を読んだことが奏功して、前回掲載したように優勝候補に推奨した4名中3名が1着〜3着となり、競馬予想に擬えれば三連複、馬連、ワイドが的中という結果でした。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【2003年 世界選手権&アテネ五輪展望】
 
メダルを獲得した野口選手、千葉選手以外に日本からは3選手が参加していたが、その中でマラソンの経験は3着が1回のみだがその時のタイムが初マラソン世界歴代2位という、スピードランナーの坂本直子選手が展開が向いたこともあり4着と健闘した。
 
ちなみに、その坂本選手が3着となった世界陸上の代表権を賭けた今年の大阪女子マラソンでは、野口選手が優勝、27秒差で千葉選手が2着、6秒差で坂本選手が3着であり、世界陸上は2着野口選手と3着千葉選手が55秒差、3着千葉選手と4着坂本選手が16秒差という結果であった。
 
すなわち、ラップ、コースの差で各選手のタイム差がほぼ倍になったものの序列は代表権を賭けて戦った大阪女子マラソンと変わっておらず、これは以前有森選手の項目でも述べた通り、トップクラスの各選手が万全に仕上げて同じような条件でレースを行うと序列(格)は簡単に崩れないということを示している。競馬の定量G1においても同様のことが云え、格がモノを云うレースでは奇をてらうだけの予想は通用しない。
 
日本から参加した残り2選手の内、大南敬美選手は前回の世界選手権は大敗したもののその後マラソンは2連勝であり、スピード不足を補える展開となれば上位を伺える実績を残していたが、転倒というアクシデントに加えて決め足勝負という不向きな展開となり27着に止まった。
 
松岡理恵選手は去年のパリマラソン2着とコース経験があったが、予想段階でも指摘した通り調整過程に順調さを欠き途中棄権となった。女性ランナー(競馬の牝馬)は臨戦過程に順調さを欠くと、男性ランナー(牡馬)よりもマイナスの影響が大きく力を発揮できないことが多い。
 
さて、世界陸上は出場枠が5名であるが五輪は3名なので内定の野口選手以外に出場出来る日本選手は2名であり、今後開催される東京、大阪、名古屋の女子マラソンの結果により決定される。
 
代表候補の一番手はシドニー五輪1着、その後一時は世界最高となるタイムをマークしてベルリンマラソンを2連勝した高橋尚子選手。来年に備えて最も早く開催される東京女子マラソンを予定しているが体調が万全ならば勝って代表権利獲得の可能性が高い。
 
現在女子マラソン界で最強の呼び声が高いのは圧倒的な記録を持つポーラ・ラドクリフ選手であるが、世界陸上へは「体調不良」を理由に参加しなかった。一部には厳格な薬物検査を嫌ったとの観測もありアテネ五輪への出場も不透明である。また、シドニー五輪2着、前回の世界陸上優勝の強豪のリディア・シモン選手は産休明けでありアテネ五輪へ万全の状態で望めそうに無い。
 
アテネ五輪は長い坂のあるコースで気温が高い条件が予想されるが、高橋尚子選手がそうした条件を得意にしているのに対し、今回の世界陸上優勝のキャサリン・ヌデレバ選手は高温・坂コースで好走した経験はない。すなわち、今後トラックから都市マラソンを経て台頭して来る「上がり馬」的な選手に怪物クラスがいなければ、高橋尚子選手が順調に代表となった場合アテネ五輪でも優勝候補である。

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−32 [2003年11月13日(木)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、女子プロテニス編を加筆再編集の上で復刻致します。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【女子プロテニスの教えてくれること−1】
 
 女子テニス協会(WTA)の本年の年間シングルスランキングで杉山愛選手が10位となり、伊達公子選手以来、久々に日本選手としてトップテン入りした。。ちなみに上位はアーデン選手が1位、杉山選手のダブルスのパートナーでもあるクライシュテルス選手が2位とベルギーの選手が占めている。
 
今回は、競馬における「牝馬」特有のセオリーを知る手立てとして女性トップアスリートを参考にするシリーズから、女子プロテニスの一流選手を事例として解説したい。現在の世界ランキングは上記の通りであるが、2000年のランキング1位は、日本でも知名度が高かったマルチナ・ヒンギス選手であった。
 
ヒンギス選手は16歳だった1997年シーズンには、競馬で言えば定量・G1格に当たる、全豪、全仏、全英、全米の四大大会シングルスで1着(優勝)3回、3着1回と抜群の実績を残し、グラフ、セレスを抜き去り世界ランク1位に昇った。しかし、翌98年には、G3格のダブルスでこそメジャー全制覇を果たしたものの、シングルスでは1着1回、2着1回、3着2回と前年よりやや後退した。
 
実績が停滞した原因には、ヒンギス選手が軽い攻めと重厚な守備の総合力型選手で攻撃面で顕著な決め手を持たないため、手の内を覚えられて厳しくなったという面もある。しかし、現実にダブルスではメジャー全制覇(グランドスラム)を達成しており、技術面よりも17歳になり体型の変化で体が重くなったことが相当に影響したと考えらる。
 
 女子アスリートの場合、この「出産適齢期」にさしかかることによる体重増は切実な問題になる。つまり、新たな体型に合わせた技術を再取得しなければならず、成熟していない身軽な状態で競うことが一般的となった女子器械体操競技では、この時期に一線を退くことが一般的である。98年のヒンギス選手は徐々に順応したものの、対応しきれなかった感が強い。
 
さて、98年の全米オープンでそのヒンギスを破ったリンゼイ・ダベンポート選手は、当時22歳であったが、それまでは目立った実績のない選手だった。このプレーヤーは20歳を過ぎてから伸びてきたというタイプであるが、10代で技術が未完成の状態のときにはケガなどの影響もあり、意識的に脂肪を付けて「太め残り」にしておいたようである。
 
すなわち、身体が未発達の身軽な状態でのプレーを覚えさせず、最初から成熟した体型を想定して太め残り練習を積み、技術、年齢が適度になったタイミングを見計らって筋力トレーニングを重点的に取り入れ、脂肪を筋肉に転換させて体を絞り、「スピード対応」を計る「女子選手独特の仕上げ方」が上手く行ったように思われる。
 
女子マラソン編で取り上げた、オリンピックメダリストの有森裕子さんにしろ、高橋尚子さんにしろ、高校、大学時代は無名ランナーであり、そこにはこうした仕上げのニュアンスが伺える。そして、競馬の牝馬についてもこうした考え方は明確に存在し、それを理解することにより好配当馬券の的中に繋げることも出来るのである。(続く)

このページのトップへ↑

馬券予想理論(復刻)−33 [2003年11月15日(土)] 
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るという趣旨記事の中から、女子プロテニス編を加筆再編集の上で復刻する2回目です。
 
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 
【女子プロテニスの教えてくれること−2】
 
 競馬の俗諺で「夏は牝馬」と言われ、実際他の季節に比べて夏に牝馬が馬券に絡む確率はやや高い。その説明として、牝馬は暑さに耐久力がある、というようなことも言われるが、生物学的にはそんな傾向もないことはない、という程度の根拠である。
 
それでは、なぜ夏に牝馬が活躍するのかというと、まず古馬の場合は「冬場に弱い裏返し」ということがいえる。この点については、有料情報メール等で詳しく背景を解説したが、要するに冬場に弱い明確な理由があるので、夏を迎えたときに実力より下のクラスにいる事が多く、その結果として活躍が目立つ、という構図であるわけだ。
 
2歳の牝馬の場合は少しニュアンスが異なって、人間同様に牡馬よりも成長が早いので、デビュー直後の夏競馬では活躍できる、というようなことが良くいわれる。それもまた一面の真実ではあるが、より大きな理由は、前回ヒンギス選手を例に書いた成長の問題である。
 
2歳の夏から秋は人間でいえば10代の前半であり、人間の10代後半に当る3歳の加重期の前のこの時期は牝馬も競走に向いた体型をしており、仕上げられれば牡馬に対抗できる事が多い。つまり、2歳の牝馬の活躍を「早熟」の一言で片付けてしまうのは、表面的な理解であるといえるだろう。
 
一歩踏み込み、牝馬特有の成長によるマイナス面ということを念頭におくと、次のような問題意識を持つことが出来る。
「競馬の世界でも、競走能力の高い牝馬を末永く走らせて、牝馬限定戦などで地道に稼ぐために、リンゼイ・ダベンポート選手のように、成長して脂肪が付いた体型になってから競馬を覚えさせる、という仕上げ手法はないだろうか?」
 
そして、これはセオリーとして存在する。こうした発想で仕上げた馬が、中〜下条件を勝ち上がって来るのは、人間でいえば20歳を越える時期である、毎年3歳の夏ローカルから秋口にかけてである。この時期は3歳牝馬の活躍が目立ち、しかもこうした牝馬たちは、戦績が浅いか、長期休養後であるので好配当馬券をもたらすことが多い。
 
そこで、馬券プロは毎年この時期に、遡上するサケを掬い取るヒグマの如く、こうした馬券を狙い撃つわけだ。また、3歳秋には、牝馬限定のGレースとして、ローズSや秋華賞が行われるが、そこでは毎年、ヒンギス選手(春の格上馬)対ダベンポート選手(夏以降の上がり馬)、の戦いが繰り広げられているのである。
 
尚、女子テニスには他にも参考とすべき点があるが、それは続編として「統合予想配信」等に掲載する。

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること−8 [2004年02月04日(水)]
今回と次回は他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るシリーズとして、アテネ五輪選考レースとなった東京女子マラソンと大阪女子マラソンを取り上げます。

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

【東京女子マラソン−高橋尚子選手敗れる】

昨年9月の記事で「高橋尚子選手は最も早く開催される東京女子マラソンを予定しているが体調が万全ならば勝って代表権利獲得の可能性が高い。」と述べたが、「休養明け出走で体重減」という調整の失敗を伺わせる、競馬の牝馬ならほぼ馬群に沈むパターンで2位に終わった。

予想外の高い気温の中、日本人選手としては最先着しタイムも許容範囲にまとめたとはいえ、ハイペースで先行しながら後半の坂でパッタリ止まった展開は、長い坂のあるコースでスタート時刻によっては高温も予想され尚且つ上がりの早い展開が考えられるアテネ五輪の条件に対しては大きな不安を残す結果となった。

五輪のマラソン代表の決定方法は、世界選手権がいわば「一発選考」でメダルを獲って最先着ならば代表決定(今回は野口選手決定)、残る枠は選考レースの結果とこれまでの実績を勘案するという方式であるが、高橋尚子選手の東京女子マラソンの結果は「過去の実績」と「高温、調整失敗の中それでも2着」という2点を考慮しても代表選出には厳しい内容であった。

そこで、有力選手が多数出場する大阪女子マラソンの結果如何では、高橋尚子選手は最終の選考レースとなる名古屋女子マラソンへ出走して代表選出を目指さざるを得ないという見方もあったが、小出監督は当初から名古屋への出走には否定的であり、また大阪で坂本選手以外これといった結果が出なかったこともあり、2月4日に正式に高橋尚子選手の名古屋不出場が発表された。

小出監督は終始「名古屋へ出たらアテネで金が狙えない(万全の態勢で出場できない)」というような趣旨の発言をしていたが、セオリーとしては女子のマラソン選手の場合、個人差はあるにしろ目一杯仕上げて勝負したレースから次に勝負できるレースまでの間隔は最低限5〜6ヵ月、出来れば7〜8ヶ月(目安として224日)必要であり年齢とともにその間隔は長くなるといわれている。

すなわち、名古屋女子マラソンからアテネ五輪の女子マラソンまではシドニーよりも短く正味5ヶ月しかないので、ほぼ100%仕上げて勝負した東京女子マラソンから4ヶ月の間隔で例え8分の仕上げでも名古屋を走れば、アテネ五輪では力を出し切れる状態には戻らないという判断であることが想像される。

ちなみに、競走馬にも目一杯仕上げた後の快復に必要な日数のセオリーがあるが、直接的に馬券予想に繋がるポイントであるので詳細については「競馬の奥義」或いは情報メールの中のみでの公開とさせていただいている。

結局、高橋尚子選手はアテネ五輪の代表となった場合に万全の仕上げが出来る様に、名古屋に出場せずに結果待ちという選択になったが競馬でもこのような状況はときどきある。

例えば、3歳のクラッシックレースを目指しそれなりに成算がある馬だが何らかの事情で収得賞金がギリギリになってしまいそうで確実に出走できる見込みがない、しかしもう1回使うと万全の仕上げが望めなくなるので予定通りの臨戦過程を守り出馬投票の抽選に賭ける、というようなパターンだ。

「収得賞金がギリギリで抽選でクラッシックレースに出走」と聞くとイメージが良くないかも知れないが、そうした馬の中には抽選覚悟で万全の仕上げをして来た隠れた実力馬がいる場合があり、その結果キャリアのある方ならご存知の通りクラッシックレースで抽選出走組が好走することは少なくない。(続く)

このページのトップへ↑

女子マラソンが教えてくれること−9 [2004年02月16日(月)]
他の競走競技を通してスポーツとしての競馬の本質を探るシリーズとして、2月4日分に続きアテネ五輪選考レースとなった大阪女子マラソンを取り上げます。

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

【大阪女子マラソン−坂本直子選手が快勝】

東京女子マラソンとは対象的な低温、北風という悪コンディションと、1着になることが必要な五輪選考レースのプレッシャーのため、スローペースから上がりの勝負という展開になったが、マラソン2回目の世界選手権で4着と健闘して素質の高さを見せていた坂本直子選手が後半抜け出して快勝した。

競馬でも馬の強さの見極めは走破タイムよりもラップタイムといわれるのと同様に、順位が全ての五輪マラソンでは「一定の距離を速く走る能力」よりも「駆け引きを制し相手に先着する能力」がモノを言うので、膠着したペースから一気にギアチェンジして決め脚を繰り出すことが出来ることは上位を争う上で必須の条件である。

その点、30キロまでの5キロごとのラップが17〜18分台という緩い展開から、タイミングを見極めて仕掛けて30キロから35キロまでを15分47秒というワールドレベルのスパートで抜け出した坂本選手の内容は、マラソン3回目でまだ伸びしろが大きいことも考え合わせればオリンピックでも通用する可能性を感じさせた。

一方優勝した坂本選手に過去2度先着しており優勝候補筆頭とみられた千葉真子選手は、今回はこれといった見せ場はなく2着とはいえ2分9秒差の完敗に終わった。

「直線的に攻めても勝てるが遠回りしても勝てる、という2通りの選択があるときは遠回りして勝つ道を選ぶ方が勝率が高い」とは将棋の故・大山康晴十五世名人の言であるが、千葉選手はいつもはこれを実践し集団の後方で辛抱の末に相手の仕掛けを見極めて対応する駆け引きには長けた選手である。

また、千葉選手は過去のレースのラップタイムから判断すると競走馬に例えれば前半の追走が楽な展開で鋭い末脚を繰り出す「スローペース向きの追い込み馬」タイプであり、得意の展開にもなりかかったにもかわらず今回は中盤の27キロ手前で先に仕掛けて失敗した。

競走馬の仕上げでは1日馬場入り出来ないと元に戻すのに数日かかるなどといわれるが、千葉選手は大阪女子マラソンの3週間前の宮崎女子ロードを体調不良により直前に出場回避しており、調整過程で僅かに順調さを欠いたことで縺れると不利と見て早仕掛けに出て失敗に繋がった印象である。

競馬でも牝馬は牡馬以上に調整の度合いが結果に現れるので、上級レースにおいては順調に使われているかが見極めのポイントとなる。

このページのトップへ↑

サッカーを通して見る競馬(馬券)観06年5月

サッカーを通して見る競馬(馬券)観

・プロローグ

まもなく、2006年サッカーW杯ドイツ大会が
開幕しますので、今回よりしばらくの間、
サッカーに関連する話題を取り上げて行きます。

・サッカーワールドカップ

94年のサッカーW杯アメリカ大会決勝、
ブラジルvsイタリアは延長の末にPK戦まで
もつれる熱戦でした。

日本でもJリーグ発足以来サッカーが人気を
得ている時であり、この大会辺りから、
実況あるいはニュースでサッカーW杯を
ご覧になった方も多いと思います。

その後、日本も98年フランス大会に出場し、
地元開催の02年大会においては予選リーグを
突破したので、世間一般のサッカーW杯に対する
認知度は高まりました。

・ジーコのブラジル

サッカーW杯の数ある決勝戦の中で、
私が強く印象を残しているのは、
アルゼンチン対西ドイツの86年大会です。

私は当時海外に居住しており、
そのアルゼンチン対西ドイツの衛星中継は、
ブラジル人が経営するパブのTVを見ていました。

この大会のブラジルは、
ジーコ・ファルカン・セレーゾ・ソクラテスの
いわゆる黄金の中盤といわれながら、
現日本代表監督のジーコさんのPK失敗などで
準々決勝で敗退しました。

競馬に例えるならば、予想技術は完璧だが
予想の作業に終始して「馬券に勝つ技術」に
欠けていたというところでした。

・結果は如何に

さて、ブラジル敗退という状況の決勝ですから、
ブラジル人のパブは開始前から店内荒れ模様です。

普段は大変なライバル意識を燃やしていますが、
W杯決勝で対ヨーロッパとなるとそこは
南米のよしみで、ブラジルの方々、
熱烈にアルゼンチンを応援します。

試合はアルゼンチンが快調に2点先行し、
店内はバルダーノ、マラドーナと巻き舌連呼の
大盛り上がりです。

ところが点が取れないはずの西ドイツが
アメリカ大会で監督を努めたフェラーを中心に
ゲルマン魂で終盤反撃し、ルンメニゲが決めて
ついに同点!の瞬間、激高した酔っぱらいの
ドロップキックでTVが破壊され、
結局その日は結末がわからずじまいだった
思い出があります。
(結局、延長でアルゼンチンがV)

・サッカーの質と馬券の技術

さてこのW杯決勝クラスの国のサッカーの質を
馬券上級者の技術に置き換えて見ましょう。

86年のマラドーナ・アルゼンチンのように
傑出した選手を軸としたチームは、
独自の優れた馬券作戦を持つ馬券師といえます。

但し、サッカー選手にも寿命があるように、
馬券戦術も普遍性があるとは限りませんから、
こうした形では常に次代の主力育成が鍵となります。
(マラドーナ後のアルゼンチンは一時凋落)

高い個人技の選手を揃えあらゆる意味の「技術」で
相手を翻弄していくブラジルは、さまざまな戦術を
状況に合わせて使いこなす馬券プロというタイプです。

しかし、サッカーの個人技の部分は馬券に置き換えれば
「主観」の範疇ですから、無敵の強さを発揮する反面、
自己管理を失うと一気に崩れる危険と背中合わせでも
あるといえます。

日本も一時実践した、早いプレスから速攻を仕掛ける
モダンサッカーは、予想よりも買い方に長けた
馬券生活者といったところでしょうか。

この方式は閉塞した局面を打開出来る決め手に欠ける
ことがあるので、勝負どころが見出せないとジ